


仕事を持っている主婦の方に限らず、専業主婦の方でもすべての家事を充分にこなそうと思ったら、絶対に時間が足りなくなります。私がおすすめしているのは、まず自分の家事スタイルを見直すことです。これはぼんやりとイメージをするというようなことではなくて、ノートなどにきちんと書き出すところまでやって、そのひとつひとつに対策、解決方法を考えていくのです。





たとえば時間が限られてしまう家事の例としてあげましたが、家事の中で案外主婦のみなさんが頭を抱えているのって、洗濯ではないかと思うんですね。雨が降ったら洗濯物が干せないとか、真夜中にはできないとか、時間的タイミング的な制約を非常に受けてしまう。洗濯自体は入れれば機械がやってくれると簡単に思われがちなんですけれど、家族が多ければもちろん量も増えるし、洗濯が上がったものをそれぞれ畳んでそれぞれの部屋に持って行かないといけない。そこで対策として家族分担の仕組みを作ります。それは家族それぞれに専用のカゴか洗濯ネットを用意することです。洗濯物を出す時点で、自分専用のネットにそれぞれ入れてもらうようにします。そうすれば洗濯物の仕訳がひと手間減りますよね。乾いたものもそれぞれに片付けてもらうようにしたら家事の負担はぐんと軽減されるはずです。それと洗濯機の設置場所も浴室か物干の近くに設定しましょう。これで洗濯物を持って移動する手間がひとつは省かれます。

これから住まいづくりを考えられるからこそ、あらかじめお風呂掃除をラクにするような設備やプランニングを考えておくといいでしょうね。まず、浴槽だけなら自動洗浄できる機能がついたものもあります。あと、設計上可能なら浴室にはぜひ開放できる窓を設けることをおすすめします。お風呂場の掃除の大敵はカビでしかないので、使ったあとに窓を開けるように習慣づけていれば、それだけでもう家事が半減すると言ってもいいくらいです。それが無理なら壁には細かい溝のない素材、防カビ効果のある素材を選ぶようにしたいですね。

まず間違えないで欲しいのは、カタログやモデルを見てすぐに「これ」と決めてしまわないことです。人にいいものが自分にとってもいいものとは限らないということです。最初にあげたように自分の家事スタイルを見直した上で、自分が家の中を動くときに、どれだけ無駄のない効率的な動き方ができるかを考えましょう。キッチンも一般的にはそんなに歩かないで作業ができ、食器が取れるのが便利と言われていますが、毎回家族がみんなで料理をするような家庭だったら、それではうまく動けないかも知れない。やはりその家庭においてベストな状態は違うし、それが身についているのは主婦のあなただということを忘れないで欲しいです。あなたは食材の買い物を週に何回しますか?買うのはどんなものが多いですか?買い置きはどんなものをどれくらいストックしていますか?それによってキッチンと冷蔵庫、ユーティリティスペース、食品庫としてのパントリーや家事室、勝手口やサービスヤードなどとの位置関係が変わってきます。

キッチンやダイニング、リビングというパブリックスペースを家事動線のために1階に持って来ないといけないと考えるのは本末転倒で、やはり自分たちがどのように暮らしたいかを考えたプランを考えるべきだと思いますよ。陽当たりのいいリビングの方が家族がおおらかになり、子供たちも元気で明るく育つという例も見受けられるので、それなら2階中心で家事が完結できる家事効率、動線を考えればいいのです。買い物から帰って一度は階段を上がらないといけなくても、その後に何度も上がり下りをしないでいいようにすることです。ゴミ出しにしてもそうです。1回の作業でゴミを出せるようにしておけば、不便は感じないはずです。それに最近ならディスポーザーのようにゴミの処理を担ってくれる機器もあります。必要に応じて家事を機器に頼ることも大事でしょう。キッチンだけではありません。先ほどあげた洗濯に関しての家事動線も、洗濯機の場所と物干とが、家の中で廊下一本でつながっている、行きやすい状態になっていればいいと思いますね。

確かに昼間仕事に出られている旦那様には昼間の家のこと、キッチンの陽当たりのことなど、効果効能を説得するのは難しいかも知れません。暗いところで家事をしている奥様の姿はなかなか想像できないでしょうね。ではどうでしょう? いまのうちから少しずつでもご主人にはキッチンの仕事を手伝ってもらうようにしては。それも休日の昼間だけで充分です。明るい時間帯にキッチンにいてもらって、現状を肌で覚えておいてもらうのです。そして、機が熟したら住宅展示場へ出かけましょう。休日の昼間、今度は陽当たりも良く快適なモデルホームのキッチンを見てもらうのです。百聞は一見に如かずです。そうして明るい場所で家事をこなすことが誰のためでもない、家族みんなのために良い効果があるということをわかってもらいましょう。

家事をおこなうのは主婦が中心です。そして家事は家の中でおこなう唯一の仕事。その家事を担う主婦だから、家の使いやすさについて、いちばんにこだわりを持って、いちばんに要望を持っていて当然です。主婦の満足感はめぐりめぐって結局は家族のためになるのです。主婦の笑顔が家族を幸せにします。だから快適な家をつくって、できるだけ家事を楽しくして欲しいのです。あなたの家事スタイルが新しい家でより快適になるように願っています。
こちらこそ、今日はどうもありがとうございました。