開かれたキッチンを中心にLDKの新しい傾向をご紹介してきましたが、こんな設定を実現するための、今までとは一味違った新しいワザをいくつかご紹介しましょう。
レンジや流し、調理台などのフロアユニットと、上部にはレンジフードと収納の吊り戸棚(ウォールユニット)がキッチンの定番でした。でも吊り戸棚があると窓は大きく取れないし、高い部分は物の出し入れが大変だし、というので思い切ってなくしてみると、すばらしい開放感が実現しました。
カウンター上が物であふれていたら、キッチンのオープン化も夢のかなたですね。すっきりしたカウンタートップを実現するのは、奥様の頑張りではなく、たっぷりの収納です。吊り戸棚をなくした分、壁面を収納にして、使いやすい高さに大容量を確保します。こうしたキッチン収納はキッチンメーカー製もあるし、内部ステンレス張りでコンセント付きなど、家具として作られ家具店で購入するものもあります。
以前の対面キッチンはシンク(流し)の手元を隠し、水ハネを防ぐためにカウンタートップより少し高めの腰壁で囲んでいました。新しいタイプのフラット型対面ユニットは、水ハネを受けるためにカウンター奥行きを少し広げ、その分はテーブルやダイニング側から使える収納などに活用します。レンジ前のところに熱や油ハネを防ぐ小さなガラスの衝立が付いたものもあります。
調理時に発生する湯気や熱、煙を効率よく集めて排気できなければ、しかも静かでなければ、快適なLDKは成立しません。これまでのレンジフードは吊り戸棚を隠れミノにできましたが、吊り戸棚をつけない新しい使い方では、フード本体が見えてくるのでデザインも気になるところです。こうした新しいキッチンの傾向を受けて、住宅用の高性能フードが各種製品化されています。
煙などを効率よく吸い込む工夫や、調理時には給気でき、小風量の常時喚起機能が付いたものも出ています。 左端の写真例ように部屋の真ん中に設置する場合は天井裏にダクトスペースが必要。 建物の構造によっては できない場合もあるので要注意。 今回はキッチンの最近の傾向をご紹介しましたが、新しい発見はありましたでしょうか。主婦の城から、より開かれた家族が行き交うコミュニケーションスペースへと進化しています。単にキッチン自体にとどまらず、ダイニングやリビングへと開かれることにより、新しいLDKのカタチが生まれていきそうですね。さて次回は、お待たせしました、しばらくお休みしていたインテリアスタイルの続き、クラシックスタイルのバリエーションへと進みたいと思います。
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