第5回 美しいひかりと影で彩る「照明を選ぶ」。
ワンランクアップの照明計画のためにできること…
ここで少し角度を変えて、建築設計の初期から照明を考える場合のハイクオリティなプランについてお話します。

◆主照明をなくす
お気づきでしょうか?ホテルの部屋というものにはほとんど天井に照明器具が存在しません。「なんとなく暗くていや」という意見も聞きますが、ゆったりとくつろいでもらう演出がなされているのです。ほとんどの個室が、天井に大きな照明器具をつけるのではなく、いくつかの天井埋込み灯(ダウンライト)と数種のスタンドのみで構成されています。ご家庭でも寝室やリビングにはこの手法を取り入れると、ひとクラス上の落ちつきあるくつろぎ空間が実現できると思います。これからご新居の建築を計画される場合には、このダウンライトや各種の間接照明の利用も視野に入れた照明プランもご検討ください。

◆ピクチャーライト
そのほかアートやオブジェ、あるいは鏡をなどライトアップする「ピクチャーライト」を照明プランにプラスしてみてはいかがでしょうか。スポットライトはもちろんブラケット照明と呼ばれる壁づけの補助照明をアートなどの上部または両サイドにプラスして、空間をやわらかで複雑なひかりで彩っていく方法です。スポットは単独で用いてもよいのですが、照明用のダクトレールと組み合わせるとより機能的。まるでギャラリーの様な雰囲気でなかなかの人気です。一方「ブラケット照明」を選ぶとクラシックでエレガントなイメージに。ぜひひとつふたつとプラスしてみてください。驚くほどゆたかな空間が出来上がることでしょう。

◆インテリアスタイルと照明

さて当然のことながら、照明器具にもデザインやスタイルがあります。インテリア全体のスタイルに合わせた照明を選ばなければせっかくのプランも台なしです。モダンにはモダンの、エレガントにはエレガントな照明器具が必要です。
この点に関しては以前にもお話ししました。
インテリアコーディネーターの視点II』をどうぞご覧ください。
また、このたび、いま注目したいインテリアスタイルをまとめた『インテリアコーディネートブック』という冊子を監修しました。こちらはABCハウジング近畿圏の住宅公園でアンケートにお答えいただいた方に差し上げていますが、ここにもスタイル別のおすすめ照明を掲載しています。併せてご参考になさってください。


最後にひとつ…「住まう方の個性に合わせて」
ひかりというものヘの感受性は個人個人でまったく異なるものです。一般に年配の方には明るい目の照明が心地よいものですし、若い方でも薄暗い照明をくつろぐと感じる方もいれば、気がめいりそうととらえる方もいます。同様に、本を読むにしても、学習と趣味目的とではふさわしい明るさがうんと違ってきます。ご家族の意見やスペースの用途もきちんと考慮して綿密にプランしなくてはなりません。
機能性と感性の部分を両立させてこその、ステキなインテリアです。特にこの照明という部分は両者のバランスが大切。可能ならば建築計画当初からぜひ入念な照明計画をなさってください。
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