第2回 空間イメージを切りとるアートな作業「壁面仕上げを選ぶ」。
「色柄」で遊ぶ。
次に、素材というより色で変化をつける方法をご紹介します。一般的には、壁はどのようなものにでも合わせやすいように無地のベージュ系・白系を提案しますが、それは「壁は空気のような存在である」ことを想定した場合です。逆に「壁であることを効果的にインテリアの演出として利用する」とすると、少し「色や柄をつけてみる」という試みになるわけです。
最初にふれたように、一般的な仕上げは「ビニールクロス貼り」ですが、コストもそれほど変わらず、個性的な演出効果をねらうのに手軽な方法をご紹介してみたいと思います。

◆カラーで遊ぶ。
壁のクロスというと、全体的に白または薄いベージュ系をベーシックに使うことが多いと思います。そこで「わが家にとって本当に白系がよいのかどうか」を考えてみてください。建具(ドア)と床とのバランスで、壁の色も建具に近い色を選ぶと非常に一体感もあり、白い壁より落ち着きが出る場合もあります。
反対に、あっさりと白い壁にしてドアや窓枠との色の差(コントラスト)をつけるとすっきりとモダンに感じられることと思います。
またパブリックスペースとは別に、個室においては、もっとカラーを試してみてもよいかと思います。たとえば、カラーの心理効果を考えて、寝室には淡いグリーンベースを貼って「なごみの効果」をねらうのはいかがでしょうか。
(色の心理的効果 参考:インテリアコーディネーターの視点 I 第4回

ただ一点ご注意。あまりにぱきっとしすぎた原色系のクロスを選ぶのは、十分な広さと天井高がある場合以外はおすすめしません。空間が手狭に見えることが多いからです。
それよりも、もっと気軽に試すことができるものとして私がおすすめするのは「アクセントウォール」。壁の一面だけをワントーン暗めの色にする、あるいは同色で柄のあるクロスを貼ってみる、というもので、なかなか楽しい仕上がりになりますよ。
このほか「ニッチの壁面だけクロスを替える」場合もあります。クロスの貼り分けだけで壁面をある程度主張させ、意識させることが、従来の無難な感じを好むインテリア感覚に変化をおこす第一歩かと思いますが、いかがでしょうか。
ニッチ(壁面の小棚)部分のクロスを替えるとまるで美術館のようなアートな雰囲気。