設計事務所が行う家づくり|業務内容や事務所の種類、メリット・デメリットとは
- 公開日:2026/08/19
- 更新日:2026/08/19

家づくりの依頼先として、ハウスメーカーや工務店を思い浮かべる方は多いでしょう。設計事務所に依頼する選択肢もありますが、設計事務所とは何か、どのような業務を担うのかを、詳しく把握していない方も少なくありません。
そこで本記事では、設計事務所の概要や種類、業務内容、家づくりを依頼する際のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。家づくりの依頼先を検討中の方や、設計事務所への理解を深めたい方は、ぜひご覧ください。
この記事を読むとわかること
- 設計事務所の役割やハウスメーカー・工務店との違い
- 設計事務所が行う業務や種類、それぞれの特徴
- 設計事務所に家づくりを依頼するメリット・デメリット
Index
設計事務所とは

設計事務所とは、建物や空間の設計を専門に手がける会社・事務所のことです。数名の少数精鋭から100名超まで、さまざまな規模の設計事務所があります。業務範囲は、住宅・ビル・店舗・公共施設などの設計図作成からデザイン、工事監理までで、施工は原則として行いません。設計事務所には、一級建築士や二級建築士などの有資格者が在籍しています。
建築家・建築士について
設計事務所には主に建築士が所属していますが、建築家として活動する方も少なくありません。建築士は国家資格であり、一級・二級・木造建築士などの種別があります。一定規模以上の建物を設計・申請するには、建築士の資格が法律上必要です。一方、建築家は法律で定められた資格名称ではなく、建築のデザインや空間づくりを主導する職業上の呼称です。
多くの建築家が建築士資格を保有していますが、著名な建築家の中には資格を持たずにデザイン監修に特化している方もいます。つまり、建築士は「設計できる資格保有者」、建築家は「建築デザインを職能とする人」という位置付けで、両者は似て非なる存在といえるでしょう。
ハウスメーカー・工務店との違い
設計事務所・ハウスメーカー・工務店は、それぞれ担う役割が明確に異なります。設計事務所は設計・デザインの専門家集団であり、原則施工は行いません。ハウスメーカーは設計から施工・販売までを一貫して手がける全国規模の住宅会社で、工務店は地域に根ざした施工を主業務とする建設会社です。
一口に「家づくりの依頼先」といっても、各社の強みや役割は異なるため、目的に合わせた選択が求められます。
設計事務所が行う業務

設計事務所の業務は、デザインや設計図の作成だけに留まりません。構想段階から建物の完成引き渡しまで、設計事務所は家づくり全体に一貫して関わります。以下では、各業務の具体的な内容を順に解説していきます。
企画・基本計画
企画・基本計画は、家づくりの出発点となる業務です。施主との打ち合わせを重ねながら要望や予算を丁寧に整理し、敷地調査で周辺環境や法規上の条件を把握したうえで、建物のコンセプトを固めていきます。ラフプラン作成の際、3D動画やウォークスルー映像を活用して、空間イメージを視覚的に共有する設計事務所も増えつつあります。
基本設計
ラフプランの合意が得られた後に、建物の基本的な形と全体構成を決定する設計業務です。平面図・立面図・高さの決定をはじめ、構造方式の検討や設備の基本計画を並行して進めます。各専門担当者が密に連携しながら概算工事費も算出し、デザイン性と予算のバランスを確認しつつ、施主の合意を得ながら方向性を定めていく流れです。
実施設計
実施設計では基本設計で固まった内容をもとに、施工者が実際に工事へ着手できる詳細な図面を作成します。材料・仕上げの決定や構造図・設備図の作成、建具・家具の設計まで、細部にわたって図面に落とし込んでいきます。基本設計は施主との方向性共有が主な目的ですが、実施設計では、現場が迷わず動けるよう精度の高い図面を整備することが目的です。
各種申請・法規手続き
設計事務所は、建物を建てるうえで必要な法律に基づいた手続きを一括して担います。建築確認申請は本来施主が行うものですが、委任状があれば建築士が代行するのが一般的です。行政との協議や各種許可申請、建築基準法をはじめとする関連法規のチェックも設計事務所が対応するため、施主が複雑な手続きに対応する手間を大幅に省けます。
施工者選定
工事を担う施工者を決める際、設計事務所は複数の施工者へ見積もりを依頼し、金額や施工体制などの内容を比較・精査します。施主は設計事務所のアドバイスを参考にしながら信頼できる施工者を選定し、工事費の調整を経て工事請負契約の締結へと進む流れです。設計事務所が中立的な立場で関与することで、施主にとって納得度の高い選定が可能になります。
工事監理
工事監理は、工事が設計図どおりに進んでいるかを継続的に確認する業務です。設計事務所は、現場確認や施工図チェック、使用材料・仕上げの確認を通じて施工品質を担保します。第三者機関によるチェックに加え、設計事務所も自主検査を実施し、仕上げや設備の精度に至るまで細部を確認します。確認結果は都度施主へ報告されるため、施主は工事の進捗や品質を把握しながら安心して竣工を迎えられるでしょう。
設計事務所の種類

設計事務所は、規模や専門性によっていくつかの種類に分類されます。家づくりを依頼する際は、それぞれの特徴を理解したうえで、ニーズに合った事務所を選びましょう。
アトリエ系
アトリエ系は、建築家が中心となって運営する小規模な設計事務所です。デザイン性や建築家個人の思想・作風が色濃く反映されるのが特徴で、住宅や文化施設の設計を得意とする事務所が多く見られます。得意分野やデザインの方向性は事務所ごとに異なるため、建築家の作風をあらかじめリサーチしたうえで、実現したいイメージに合う事務所を選ぶことが大切です。
組織系
組織系は、数百~数千人規模で運営される大規模な設計事務所です。意匠・構造・設備など専門部署が分かれており、プロジェクトチームを組んで大規模建築を手がけるのが一般的です。組織系の性質上、個人住宅を請け負うケースはほとんどありません。住宅の設計依頼を検討している場合は、事前に対応範囲を確認しておくとよいでしょう。
その他(専門設計事務所など)
アトリエ系・組織系のいずれにも当てはまらない、特定分野に特化した設計事務所も存在します。構造設計事務所・設備設計事務所・インテリア設計事務所・ランドスケープ設計事務所などが代表例です。それぞれ専門領域が明確なため、プロジェクトの内容や課題に応じて、連携先として活用されるケースも多くあります。
設計事務所で家を建てるメリット

設計事務所には、自由度の高い設計や工事監理など、家づくりにおけるさまざまなメリットがあります。
設計事務所で家を建てる主なメリットは、以下のとおりです。
設計・デザインの自由度が高い
設計事務所は一から設計を行う注文設計が基本であり、設計のスペシャリストが施主の要望に合わせてプランを組み立てます。既製プランに縛られず、土地の形状や周辺環境に応じた柔軟な設計が可能です。間取りや外観、内装デザインまでこだわりを反映しやすく、世界に一つだけの住まいを実現できる点が大きな魅力です。
設計のプロから直接提案・アドバイスを受けられる
設計士や建築家が施主と直接やり取りする設計事務所には、要望をそのまま設計へ反映しやすい環境が整っています。また、施主の希望をただ形にするだけではなく、デザインや間取りについて、プロの視点から課題や改善点を指摘してもらえるのも魅力です。豊富な知識と高い提案力を持つプロの力を借りることで、暮らしやすさと質の高さを兼ね備えた住まいの実現につながるでしょう。
工事監理により高品質な住宅になる
工事監理では、設計者自身が現場に足を運び、図面どおりの施工が行われているかを継続的に確認します。問題が発生した際は即座に是正対応できるため、手抜き工事や施工ミスによるトラブルを未然に防ぐことが可能です。材料・色・仕上げの現場確認や、施主への随時相談も行われるため、品質面でも満足度の面でも納得のいく仕上がりになるでしょう。
設計事務所で家を建てるデメリット

設計事務所への依頼にはさまざまなメリットがある一方、時間・コスト・依頼先探しの面で注意すべき点も存在します。考えられるデメリットは、以下のとおりです。
設計から家が完成するまで時間がかかりやすい
設計事務所ならではの自由度の高さと丁寧なプロセスが、完成までの期間を長くする要因となります。設計を段階的につくり込み、工事監理を並行して行ううえ、オーダーメイド設計による工事の複雑さも加わり、完成まで一年以上かかるケースも珍しくありません。特に、小規模な事務所では同時進行できる案件数に限りがあるため、打ち合わせのペースがゆっくりになる傾向が見られます。
最終的なコストがすぐに確定しづらい
施主の要望を反映しながら設計を進める性質上、プロセスが進むにつれて費用が変動しやすい傾向にあります。施工は別会社が担うため、設計段階で最終的なコストを正確に把握するのは難しく、素材の選択や施工者によって費用が左右される点には注意が必要です。適切に予算管理をするためには、余裕を持った資金計画が欠かせません。
理想の設計事務所を見つけるのが難しい
住宅を手がける設計事務所は全国に存在するものの、小規模なアトリエ系が多く、選択肢が限られがちです。地域密着型の事務所は特に情報が少なく、デザインや得意分野の相性を見極める必要があるため、探すだけでも相応の時間が必要になります。また、相性がよさそうな設計事務所が見つかっても、受注枠に限りがある場合、依頼までに数ヶ月以上待つことになるでしょう。
Q&A

Q.設計事務所の相場はいくら?
A. 設計事務所に家の設計を依頼する場合、設計料の相場は建築工事費の約10〜15%です。設計料には、設計と工事監理の費用を含むケースが多く、建築費2,000万円であれば約200万〜300万円、3,000万円であれば約300万〜450万円が目安となります。なお、ハウスメーカーや工務店の設計料は、建築工事費の約2〜5%が相場です。
Q.設計事務所を選ぶ際のチェックポイントは?
A. 設計事務所を選ぶ際は、デザイン性だけでなく「相性」や「実績」を総合的に確認することが大切です。特に住宅設計の実績が豊富かどうか、自分たちの理想に近い施工事例があるかは必ずチェックしておきましょう。
また、設計事務所ごとに得意分野や設計思想は大きく異なります。シンプルモダン・自然素材・高性能住宅など、どのような住宅を得意としているのかを事前に確認しておくと、完成後のミスマッチを防ぎやすくなります。
さらに、以下のポイントも重要です。
- 過去の施工事例や受賞歴
- 打ち合わせ時の対応や提案力
- 予算管理の考え方
- 工事監理の体制
- 施工会社との連携実績
- 完成後のアフターフォロー体制
設計事務所との家づくりは長期間にわたるため、デザイン力だけではなく「安心して相談できる相手かどうか」も重要な判断基準になるでしょう。
理想の家づくりに合った依頼先を選ぼう

設計事務所は、設計・デザインの自由度の高さと専門家による工事監理が強みです。時間やコスト面での注意点はあるものの、こだわりの住まいを実現したい方にとって有力な選択肢といえます。こだわりの家づくりを検討しているのであれば、まずは実際に住宅展示場で理想のイメージを膨らませるのがよいでしょう。
ABCハウジングは、家族で楽しみながら理想の暮らしを思い描ける総合住宅展示場です。注文住宅をお考えの方は、ぜひお近くの展示場へお立ち寄りください。



