前回は近隣から考えた場合の住宅を述べてきましたが、今回は住宅環境に影響を与える「コミュニティー」について考えてみたいと思います。
住まいが地域に貢献出来る方法として、外観を街並と調和させるという考え方と住まいの中にセミパブリック空間を取りいれるという考え方があります。
家の外観を街並にあわせることは、整った印象を与え、周辺環境との調和という意味で重要になってきます。また、(例えば昔の長屋のように)住まいの中に家族以外の人が利用できるセミパブリック空間を設けることは、そこに参加する人々のコミュニティーが形成されるため、親密なコミュニケーションがより生まれやすくなります。「昔は近所のおばちゃん、おじちゃんが子供の世話をしてくれていた」というように、以前の日本にはコミュニティーと共に生活がありました。それを「昔は良かった」と懐かしがっているだけではなく、現在はどのような可能性があるか考えてみましょう。それは住宅のプランニングにも関係してきます。
現在では核家族が増えたため、ご近所さんとは新しいコミュニティーを築いていかないといけません。開拓して一体的に整備された住宅地では、同じような価格帯の住宅が多いので、住人の年齢層も似たような家族が集まっているケースが多くあります。そうすると、ママさんコミュニティーが重要な地域コミュニティーとなってきます。
ママさんネットワークが形成され、そして長期優良住宅がより普及すればいい近隣をつくることができると思います。どういうことかと言いますと、今までのスクラップアンドビルドの住宅では資産価値がすぐになくなります。住宅自体を価値があるまま売るのが難しいので、一度住宅を建てるとそこにずっと住まざる得ない状態でした。しかし長期優良住宅がより普及し、中古住宅の流通が広く行われるようになると、住宅の転売は今より容易になり、気軽に引っ越すことができます。そうすると仲の良い人を近所にお勧めすることが出来、家族に合った街、そしてコミュニティーを選べるようになります。ゆえに、現在のような価値観が多様になった時代にも良い近隣が築けるのではないでしょうか。