ナチュラルな風合いのあるグレーの外壁をアクセントにした、シンプルな平家がTさまのお住まい。まるでギャラリーのようなスタイリッシュな外観には、「住宅のように見えない家にしたかった」というご夫妻の希望がこめられています。お住まいの中はどうなっているんだろう…と期待をふくらませて足を踏み入れた玄関の先で出迎えてくれたのは、白を基調とした中庭。さんさんと光が射し込み、暗くなりがちな玄関を明るく照らしています。家の中心に中庭を設けたことで、どこにいても視線が広がり、開放感も抜群。「すぐに目が届くので、犬にはリードをつけず、安心して遊ばせてあげることができるんです」と奥さまはにっこり。
住まう方の個性が感じられる「中庭のある平屋の家」は、ご主人が幼い頃から夢見ていた住まいの形だったのだそう。それを実現できる土地が、奥さまのご実家近くで見つかったことから、こだわりの家づくりが始まりました。ハウスメーカーは、木の質感を活かした住まいを得意とする住友林業。「実際に住んでみると、想像以上に木のぬくもりを感じることができました。スリッパも一応用意しているのですが、冬でも使うことはありません。素足で歩くのが気持ちいいんですよ」と奥さま。リビングを始めとする住まい全体が、ウォールナットの色や質感をベースに、ブラウン・ホワイト・グレーの3色で構成されているため、統一感がありモダンで落ち着いた印象が漂います。
中庭を中心に家をぐるりと回遊できるTさんのお住まいは、驚くべきことに廊下がありません。「最初は廊下をつくることも考えていたんですが、夫婦ふたりの暮らしでそのスペースは無駄だなって。部屋の引き戸を開ければ、室内同士がすべて繋がるようになっています。完成したその日に、犬が喜んで家中を走り回っていました」とのこと。バリアフリーのため、ロボット掃除機をかけっぱなしにすれば全室掃除してくれるというのも、キレイ好きの奥さまにとってうれしいポイントなのだそう。「毎日の掃除が楽って、暮らす上で大切ですよね。収納スペースもたくさん設けました。断捨離が好きなので、実はあまり使い切れていないのですが(笑)」と、新居の暮らし心地について楽しそうに話してくださいました。
「岩に流木が刺さっている」のをイメージしたという、
石造りのキッチンと木のダイニングテーブル。ナチュラルな素材で住まいを統一。
もうひとつの大きなこだわりは、リビング・ダイニングの中央に置かれた造り付けのキッチン。石造りの重厚なカウンターがダイニングテーブルと一体化し、近隣に住む奥さまのご家族が訪れたときに活躍するのだそう。「シンクの前で作業しながら、みんなの会話の輪に入れるのがいいですね。料理を出しやすく、片付けもしやすい。前に住んでいたマンションではあまり人を招くこともなかったのですが、今では頻繁にゲストが来てくれるのでとてもにぎやかです」。仲良しの姪っ子さんはインテリアに興味があるそうで、Tさまの住まいに興味津々。誰かを招き、一緒に話したり食事をしたりするのが楽しくなったのもよくわかります。
キッチン背面の収納スペース。
家電なども入れてスッキリ。
ゲストが大勢訪れても同時に靴を脱げる広々とした玄関。
これから家を建てる方へのアドバイスをお伺いすると、「予算がある中で、1から10まで、あれもしたいこれもしたいと叶えようとすると、絵に描いた餅になってしまいます。“ここだけは絶対に譲れない”というポイントを考えておくといいと思いますね。私たちにとっては中庭やキッチンがそうでした。譲れないポイントを絞り、それを中心に家づくりを進めていくといいのではないでしょうか」とお話ししてくださいました。