アウトドアの魅力を住宅に取り入れるための、ちょっとしたヒントをご紹介。
キャンプ場・グランピング施設の企画開発を務める吉村司が提案する、新ライフスタイル「ミドルドア・ライフ」とは?
僕は普段、キャンプ場、グランピング施設の企画開発や、グランピング専門雑誌Glampの編集長を担っています。その経験から、アウトドアをもっと楽しむためのアイデアとして、アウトドアの魅力を家の中に取り入れるライフスタイル「ミドルドア・ライフ」をおすすめしています。
「MIDDLE DOOR LIFE~ミドルドア・ライフ」
開放感、自然の安らぎ、四季の移ろいといったアウトドアの魅力を住宅(インドア)に取り入れるライフスタイル。
アウトでもインでもない「ミドル」の世界観。
そんなミドルドア・ライフの様々な楽しみ方をお伝えするコラム、第3回のテーマは「冬のアウトドア・リビングの楽しみ方、教えます」。
(これまでのコラムはこちら)
冬でも絶対、アウトドアを楽しみたい!
自宅でアウトドアを楽しむ生活を続けるためには、冬もぜひ楽しみたいもの。12月からの4か月間程、一度も屋外空間を使わないなんてもったいないですからね。とはいえ、これがなかなか難しい!春夏秋のアウトドアが快適過ぎるだけに、冬の寒さは快適とは程遠いものです。「無理して防寒してまで外で過ごすべきか?」淡路島の家に住み始めた頃の冬は、防寒具を着込んでいても震えるような極寒のデッキテラスで何度も自問自答してきました。
暖をとる方法として、火を使えば冬でも快適な空間は生まれます。アウトドアグッズのアイテムとして「焚火台」が上位にランクされるほど人気ですから、僕も自宅のデッキテラスに導入しました。
火の粉でデッキが燃えないように大理石を何枚か敷いて、その上に焚火台を設置。ムートンやらブランケットを持ち込んで、薪を焚きながら冬の夜を楽しんでいたのですが、ここで問題が。そう、風です。特に冬場は風の強い日も多く、火の粉が遠くまで飛び散ってしまう焚火は、あまりに危険過ぎてNGでした。
「さて、どうしようか?」と悩んでいた時、僕たちのキャンプ場「FBI Awaji」にユニークなキャンパーがいらっしゃいました。季節は11月頃。テントを設営すると同時に、軽トラックの荷台から降ろしたのはなんと薪ストーブ。キャンパーはこれをテント前に設置して、薪をくべて暖をとりながらストーブの上部鉄板に鉄鍋をおいて料理も始められました。これはいい!
早速お話を伺うと、ESSEというイギリスの薪ストーブメーカーの日本代理店代表者の方。ESSEは屋内用薪ストーブを製造しているのですが、その最も小型軽量なモデルを、趣味でアウトドアでも活用されていたのです。「風が強い場所では普通の焚火台は使えませんが、薪ストーブなら安全ですよ。ESSEは鉄製なので、上部板で調理もできます。重量も、小型モデルなら大人二人で持ち運びできるので重宝しているんです」というお話を聞いて目からウロコが落ちました。話を聞けば聞くほど惚れ込み、「僕もこの薪ストーブ買います!」と思わず叫んでしまいました。
屋外薪ストーブで広がった、冬のアウトドア・ライフ
2019年2月、淡路島の我が家に薪ストーブがやってきました。お願いして、煙突はアルミ製で取り外しできるように。防水性の高いオリジナルカバーで本体をくるめるようにしてもらうことで、雨対策も万全です。どんなに風が強くても薪ストーブなら問題なし。薪をくべる作業は飽きることがなく、どんなに寒くても続けられます。
そして楽しみは料理。ストーブの鉄が温まれば、鉄板の上でシチューなどの煮込み料理や、ラクレットで焼きチーズなども調理できます。さらに、このストーブでは暖炉の内部に鉄の台を置くことで、自家製ピッツァを焼くこともできました。屋内のみに限っていれば暖かい季節になると使わなくなりますが、屋外であれば1年中使用できます。我が家のように屋外暖炉兼キッチンとして活用すれば、1年中楽しめる空間となりました。これぞ、ミドルドア・ライフの発想ならでは!ではないでしょうか。
最近では燃やす薪にもこだわるようになりました。仕事で岐阜県恵那市に行く機会があり、そこで出会ったのが「ヒノキの薪」でした。恵那市は林業が盛んで、その間伐材が薪にも使われていたのです。ヒノキの間伐材をたまたま手に入れたので薪ストーブで焚いてみたところ、再び、目からウロコが飛び出ました!薪の表皮には油分が多いため万遍なく燃え、ヒノキの香りも漂うのです。燃え方も美しく、他の薪とは明らかに違います。通常は薪だけの販売はしていないようなのですが、知人に分けてもらって時々楽しんでいます。
おうち時間をより楽しむには、ちょっとした発想の転換を
暖炉で燃える薪の炎は、いくら眺めていても飽きることはありません。こうしてゆっくりと過ごす時間そのものが、僕にとってとても贅沢なものとなりました。ここで大切なことは、「屋外で楽しめるお気に入りのアイテムを見つける」ということです。なにも、薪ストーブでなくとも構いません。例えばアンティークなデザインの電気コンロを、延長コードを使って屋外に出してみてはどうでしょうか?または、コタツなども良さそうですね。最近ではハイタイプ(ダイニングテーブル仕様)のコタツも見かけるようになりました。屋外に出しっぱなしにすることは難しいですが、冬晴れの日に、屋外に出して使ってみてはいかがでしょう。きっと、想像以上に楽しくなるものです。
まずは、「室内にしか設置できない」という常識を疑ってみること。特に、冬の屋外を楽しむためには「嘘でしょう?」と思うような発想も必要です。お気に入りのグッズとともに過ごす時間を大切にすれば、おうち時間はさらに贅沢なものとなりますよ。
冬も楽しめる工夫がされた事例
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我が家と同じく、テラスに暖炉を設置した事例。屋内とフルフラットで繋がり、一体感があります
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暖炉と照明器具、グリーンを設置すれば、デッキテラスの印象も大きく変わりますね
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ビルトインガレージも、空間インテリア次第で色々楽しめます。お気に入りアイテムを集めましょう
冬でもアウトドアを充実させるには、「ミドルドア・ライフ」の発想がキーポイントでした。皆さんも住まいの中にお気に入りアイテムを探してみてくださいね。
次回、Vol.4では「アウトドアなベッドルームとゲストルーム」をご提案します。