相談会で多く寄せられる、
住まいのお金に関するQ&Aをお届けしています。

第6回
将来の教育費を考えた家計簿のめやすとは?
質 問
夫、長女3歳、長男1歳の4人家族の主婦です。マイホームをそろそろ・・・と思っていますが、子どもが2人いるので、将来の教育費も考えるとお金のやりくりが心配です。教育費はどれくらい必要になりますか? また「家計簿のめやす」のようなものはあるのでしょうか?
回 答
「マイホーム購入号」客船に乗り込むためには、あなたの場合「これから必要となる教育費」「家計の把握」のパスポートが必要です。まずはパスポートの内容を確認してみましょう!
第1のパスポートは教育費。もちろん進路によって、また家庭の考え方によっても大きく違ってきますが、「子育て家庭の経済状況に関する調査研究」によると妊娠・出産から大学卒業までの生活費と学費を合わせた1人あたりのトータル金額はなんと約2,360万円に上り、かなりの支出です。
ただしこの表をじっくり覗き込むと「学費」や「生活費」といった最低限必要になるお金と、「ちょっとお金はかかるけど、子どものためには・・・」と思う「選択的費用」に分けられています。単純に「子どもが2人で×2」とはならないでしょうが、姉弟の2人で選択的費用は約1,500万円以上に。学習塾代や大学に進学した場合に自宅通学なのか下宿なのかでも毎年100万円単位の違いになりますから、小さい頃から金銭感覚を持たせるように取り組めば大きく削減できる可能性も考えられます。「準備は早め早めに」をモットーに。
第2のパスポートである「家計を把握」をするにはやっぱり家計簿。家庭を経営するため、特に住宅ローンを借りる場合は失敗すると家計破たんの原因に繋がるので、しっかり毎月決算をするように取り組みます。
家計簿は税金や社会保険料など自分で調整することができないお金を差し引いた「手取り収入」で考えます。家族構成にもよりますが、手取り収入に対する住宅ローンの返済割合を安全ゾーンの25%〜30%とすると 教育費として10%は確保しましょう。
将来の備えとしてはもちろん貯蓄も外せません。最低ラインとして10%〜20%、まだ子どもが小さい頃は30%にチャレンジしてみましょう。現在の低金利がまだしばらく続くとして、例えば金利を年0.5%とし、15年間で500万円を準備するには、毎月の積立額は26,744円です。10年間だと毎月40,625円必要となり、こちらも「早め早めに」準備することを念頭に。
貯蓄の方法は子ども保険、終身保険、積立貯蓄など様々な方法がありますが、基本ルールとして「給与振込口座では貯めない」を守りましょう。給与が入ったらその日のうちに違う口座で貯蓄しておけば、「今月ちょっとお金が足りないな」と思った時に取り崩す行為の歯止めとなります。
「マイホーム購入号」客船のキャプテンとして、今からあなたが取り組めれば人生行路の荒波も乗り切れるはずです。
■子育て家庭の経済状況に関する調査研究
  生活費 必要費用 生活費/
必要費用計
選択的費用 合計
学費 その他
学費 その他学費
妊娠・出産 - - - 493,879 493,879 47,947 541,826
0歳 57,447 - - 193,513 250,960 249,281 500,241
乳幼児
(1-3歳)
204,915 - - 227,864 432,779 1,052,773 1,485,552
幼稚園児
(4-5歳)
367,528 658,409 273,204 - 1,299,141 340,224 1,639,365
小学校
(6-11歳)
687,364 556,738 1,211,668 - 2,455,770 1,123,524 3,579,294
中学校
(12-14歳)
681,803 640,558 838,251 - 2,160,612 787,140 2,947,752
高等学校生
(15-17歳)
760,256 1,431,348 623,701 - 2,815,305 908,460 3,723,765
大学生
(18-21歳)
878,388 5,235,684 - - 6,114,072 3,073,976 9,188,048
合計 3,637,701 8,522,738 2,946,824 915,256 16,022,519 7,583,325 23,605,844
資料:財団法人こども未来財団「子育て家庭の経済状況に関する調査研究」(2005年度)

■家計簿のめやす
貯蓄 食費 住居費
10%〜20% 15%〜20% 0%〜30%
保険料 車両費 教育費
3%〜8% 4% 10%
通信費 水道・光熱費
(電気・ガスなど公共料金や新聞代)
日用品雑貨
3%〜5% 5%〜7% 3%〜5%
おこづかい 交際費・被服費など 娯楽・レジャー費など
10% 7% 5%

<筆者作成>


(2010.11.19更新)
●筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー 土井 紀彦(どい としひこ)
楽しく生きるために避けては通れない一つがお金の話。全く考えないのは問題ですが、考えすぎて不安になるのも問題アリです。
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【略歴】
大手老舗ホテル退職後、独立系FP事務所に勤務。コンシェルジュ型サービス業としてのFP事務所確立を目指し、セミナー・相談業務に取り組んでいる。

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