節句や日本の歳時記のお話と和小物の選び方や楽しい使い方
和のしつらい
今回からは具体的なコーディネートです。はじめはやはり“和”の季節感のあるコーディネートから。
しつらい(室礼)とは、玄関や床の間の飾りに見られるような歳時記・節句に合わせた飾りや意匠で、お迎えする方へのおもてなしの心を表すことをいいます。古来の陰陽五行・歳時記に基づいたものですが、現在では四季やその時折の家族や仲間との行事に心を配るおもてなし全般に使われますね。正月飾り・雛の節句・端午の節句と色々ありますが、今回のテーブルコーディネートは花をテーマに“早春のしつらい”と“重陽の節句のしつらい”をご紹介しましょう。
四季を表すコーディネートにはその時折のお花を飾りますよね。では春の表現とは?まずは生花のポイント。早春といえば“めばえ”。これは土と芽を表す茶色や薄黄緑をベースに使います。今回はその先の、梅→桃→桜の頃のまだ葉が少ない季節を表現しています。緑の量を少なく、桜の幹に見立てた土ものの器に桜の枝とフリージア等を使い、花がメインでありながら早春の涼やかさを出した生け込みにすることがポイントです。
華やかさは小物で演出しましょう。若草色と桃色を基調にした手ぬぐいをテーブルセンターとして使い、器も桜と若葉を使っています。和の器の面白さは洋食器のように揃えて使わなくても良いこと。それぞれの器の形や風情を楽しめます。ガラスのモダンな器もプラスしてさらに組み合わせの面白さを出してみました。ガラスは透明なので下に敷いた小物の柄を活かしてくれるお役立ちの一品!色々と工夫して使って下さいね。気をつけるのは大きさと重量感のバランス。銘々の器は良く似たサイズを組み合わせましょう。お買い物の時も手のひらで大まかなサイズを確認して買い足していくと、合わせ易い器揃えになりますよ。
お花仕立ての蓮根饅頭
お料理は薄ピンク色の『バルサミコ酢とフレッシュ野菜のおすし』『お花仕立ての蓮根饅頭』です。それぞれの器を活かしたメニューにしました。
陰陽では陽(奇数)の数を吉とします。日本の数は器やお祝い事など奇数が多いですよね。重陽の節句は9月9日(現10月)で陽(奇数)が重なる日なのですが、吉が重なるのを不吉とし、お祓いの意を込めて行われます。現在では陽の重なりをおめでたい日として解釈されています。菊の節句ともいい、菊飾りのしつらいや、菊酒でおもてなしをする習慣があります。テーブルコーディネートには菊の帯と菊の花玉を飾ってみました。テーブルセンターにも古い帯とアクセントにヨーロピアンアンティーク調のリボンをプラスしています。器のセッティングは塗りの四方盆にガラスと洋皿を使いました。グラスにも菊の葉とテーブルセンターと同じリボンで飾りつけをし、統一感を出しています。ここでは和食に和・洋ミックスの器や小物使いでちょっぴりセンスアップしたセッティングをしてみました。ポイントは全体にアンティーク調に揃える事!ポップなものは避けましょう。ポイントをしぼる事で上品なしつらいになります。お料理はやはり旬の食用“菊”を使い、『焼き鰤の菊花おろし』『豚と野菜のハーブ味噌漬け焼き』・『雑穀にぎりの湯葉と菊花あんかけ』です。とっても綺麗でしょう♪
雑穀にぎりの湯葉と菊花あんかけ
季節に合せて楽しめる和のしつらいは想像力をかきたてられます。お手持ちの器や小物でオリジナルなコーディネートを楽しんで下さい。その他、お正月等のしつらいは後の回でまたご紹介していきますね。