チラシを見ながら下調べ
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魚住 チラシ広告を開いてみましょう。最初に戸惑うのが、面積の表記方法ではないでしょうか。土地の敷地や建物の床面積を表わす単位「坪」と「平米」が同じ紙面に混ぜこぜに使われています。30坪がだいたい99㎡という認識で良いのでしょう?
いちのせ この際きちんと確認しましょう。坪の換算は「3.3」ではなく、正式には「0.3025」で行います。坪を㎡に直すときには0.3025で割るので、例えば30坪÷0.3025=99.17㎡になります。㎡を坪に直すときには0.3025を掛けます。登記簿や実測図はすべてこの方式で換算しています。 |
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魚住 チラシには細かい数字や小さな文字で読みにくい部分にこそ大切な情報が掲載されていますから、面倒がらずに読み解く正確な眼が必要ですね。「駅まで徒歩10分」ということは、80メートルが徒歩1分の計算という決まりに基づいているから、物件は駅まで800メートルの距離にある―。
いちのせ そうですね。ただしその数字からは途中に信号や踏み切りがあるとか、坂道になっているといった情報は読み取れないので気をつけてください。(笑)
魚住 実際にかかる時間は人によって違うわけで、チラシはあくまで導入と捉えるべきですね。ところで、よく土地の広告で見かける「建築条件付き」と「建築条件なし」の違いも教えてください。 |
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いちのせ 土地の販売だからといって、自由に建物がたてられるわけではないのが「建築条件付き」です。プランは原則として自由ですが、売主が指定した建築会社に工事を発注します。買う側のメリットとしては土地購入から家の間取りまで全体の相談がしやすいことがあげられます。これに対して施工会社を自由に選べるのが、建築条件がついていないもの。好きな住宅メーカーや工務店を検討しながら、自分のペースで計画が進められます。 |
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その土地はいったいどんな土地?
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魚住 実際に土地を探し始めると気になるのが、利便性や学校・職場との位置関係、病院や銀行は近いかなど。いちのせさんがお客様に相談を受けて気をつけていることは何ですか? |
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いちのせ ズバリ土地の歴史です。もともとどんな土地だったのか。山だったのか谷だったのかで地盤の固さは違います。また、田んぼや沼の埋立地は要注意。地盤改良が必要になると50万円から。杭を打つと200万円くらいかかります。その土地がどういう土地なのか、土地勘のある地元の不動産屋さん、近所に住んでいる人に聴いてみることから始めましょう。役場には古地図も残っていますので参考に。
魚住 きれいに整地されていると、過去までは思い至らないですね。その土地の地名に「川」や「池」「田」など水に関係する文字が含まれているときには埋立地の可能性があります。大阪の「梅田」も以前は「埋田」と書いたと聞きました。そうした土地は地震対策をしっかりしておかないとね。
いちのせ そやね。それに、湿気も気になります。以前僕が住んでいた家はすぐに壁にカビが生えて困った。池を埋めて造成したところだったそうです。そんな苦い経験も踏まえてアドバイスしています。
そのほかチェックして欲しいのが、「建ぺい率」や「容積率」。
気に入った土地が見つかっても、土地によって建物のボリュームの基準が違います。土地全面を使って建てられるわけではないので知っておいて下さい。(資料1)
道路との関係も確認を。法律で、敷地は道路に2m以上接するように決められています。この条件を満たさないまま販売されている土地も見かけます。買ったはいいけど、建てられないなんて悲劇に合わないようにして下さいね。
魚住 それは大変!土地を取得するときには、いろいろな角度から検討する必要がありますね。その分探し甲斐もありますし、見つかったときの喜びは大きいことでしょう。
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街なかと田舎で違う土地選びのポイント
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魚住 最近よく話題にのぼるのが、リタイヤしてからの住まい方。郊外でののびやかな子育てを終え、便利な街なかに移る人、逆に自然を求めて田舎暮らしを満喫したい人。どちらの移住も勝手の違いから気が付かない点もありますね。
いちのせ 都市部で問題になりがちなのが、環境の変化です。再開発が予定されていれば、そこには大きなビルが立ち並ぶかもしれません。近くにスーパーができ、交通の便が良くなる可能性もある反面、高層マンションの建設によって、電波や風の向き、日照条件などに影響が出ることも考えられます。近隣の都市計画は調べておきましょう。 |
魚住 道路の巾を拡張するためのセットバックや換地など、自分の土地を供出や交換させられたりする場合もありますね。まちづくりのため必要な行程でしょうけど、その土地がどんな立場なのかを把握しておかないと、こんなはずではなかったということにもなりかねません。 |
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いちのせ 田舎で土地を取得するときには、土地の地目に注意してください。建物を建てるときには「宅地」でなければなりません。「山林・田・畑」の場合は事前に地目を変更してもらうといいでしょう。
インフラの整備も都市部と同じというわけにはいきません。給排水とガスの引き込みがあるかどうかを確認。無ければ工事費がかかります。地区あげてインターネットに力を入れているところではむしろ普及が進んでいますが、CATVやADSL、光ケーブルなど自分に必要な設備はどうなっているのか。携帯電話の電波も地域によって状況が違います。
魚住 自分の暮らし方と将来を照らし合わせた土地選びを、社会の変化と考え合わせてゆけば良いのですね。
いちのせ このほかにも土地にはいろいろな法律や規制がありますので注意深く臨んで下さい。人気のある土地は価格が上昇に転じ始め、いまこそが上手な土地の選びどきといってもいいでしょう。(資料2)
土地はひとつとして同じものはありません。納得ゆく物件を賢く選んで下さいね。
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(2008.06.27up) |
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