今回訪ねた伝統的な和風住宅は、前回と同じ滋賀県の大津市内。
もとは三井寺の坊の一つだったそうですが、戦前からすでに一般住宅として住み継がれてきた建物と庭園。その真価を知り、再び生まれ育った家に戻って来られた橋本さんをお訪ねしました。
閑静な住宅地の一区画、上部に生垣が植え込まれた味わいのある石垣が、もとの姿を偲ばせます。
建物はシンプルな切妻型ですが、高くて傾斜のあるこの立派な大屋根には存在感があります。
前栽にはいろいろな樹種や草花が植えられ、季節感を出しています。
8畳間の魅力は床の間にあります。床脇を設けず広々とシンプルで、元僧坊らしい簡潔なデザインが現代にも通じる新鮮な印象です。
天井が高くて気持ちいい!
これだけ広い内部空間は、大屋根だからこそ。
2つの座敷は庭に向けてL型に合計6間半の開口部があり、全て開け放つことができます。
この開放感と明るさ、庭との一体感は誰もが魅力を感じ、このまま残したいと思うでしょう。
不動明王と観音が両存する岩組みと、洞窟と浮島によって神仙蓬莱の世界を表現する池によって構成されているという庭園。奥行きのあまりないスペースですが、自然の地形を活かして立体感ある風景を作り出しています。