伝統のこころとわざを再発見 第9回 京指物の技術を活かした照明器具 No.2

前回はショールームを見せていただきましたが、今回は工房の様子や納品例をご紹介しましょう。

工房はショールームの裏手にあります

指物部は3名で企画、デザインから製作、販売、取付けまでを行っています。
奥は鉋(かんな)の研ぎ場です。塗装しない生地仕上げは鉋の切れ味が命。下段には様々な砥石がずらり。
同じ敷地内にある建築部の研ぎ場。さすがに広いですね。

道具もいろいろ見せていただきました

作業台の上には当て台と呼ばれる厚い無垢板が置かれ、様々な手作業はこの上で行われます。
引き出しには道具類がいっぱい。写真はいろんな種類の小型の鉋。
この小さい鉋は細い角材の角を面取りするもの。
製品はすべて一品製作。工程の多くは機械加工、最後の組立や調整が手作業とのこと。

納品例をいくつか紹介していただきましょう

京都迎賓館会談室の吊りオブジェ。デザインは建築家・彫刻家の川上喜三郎氏。杉のフレームに和紙張り。
主賓室への渡り廊下などに設置されている露路行灯。(デザイン 日建設計)
和食会食棟の畳廊下に置かれている隅切り行灯漆塗台。(デザイン 日建設計)
伊勢神宮外宮神楽殿 願主待合の霧島杉を使った天井照明。(デザイン 清水建設設計部)
紫野和久傳2階そば処「五(いつつ)」の店名スタンドとメニュー台(栗材)。
ロンドンにある日本料理店の天井照明。デザインは川上喜三郎氏。
同じ日本料理店の露路風廊下の照明。
羽田空港国際線ターミナルの江戸小路。建築は中村外二工務店、看板照明は興石の製作。

京指物の技術でつくる照明器具はいかがでしたでしょうか。
案内と説明をしていただいた職人の鳥原さんは大学で建築を学んだあと指物の世界に入ったそうです。
CADで図面を描きながらも「弟子を育てるのは職人の仕事の一つ」や「次のステップを示してくれるのは顧客の要望」など、伝統技術継承の世界が垣間見えるようなお話が印象に残りました。

取材協力
(C) ABC HOUSING

TOPへ戻る ▲