第14回 静岡の指物家具メーカーを訪ねて No.1

静岡は徳川家のお膝元。3代目家光の時代に全国から集められた指物職人による木工や漆芸の伝統が今も引き継がれ、木製家具の産地として知られています。そのなかで製造問屋として新しい試みを次々と進めてきた株式会社吉蔵(きちぞう)さんを訪ねました。

静岡の伝統的な指物家具は桑材が特徴的

伝統的な家具の例、針箱。雲のような濃淡の木目模様は桑材の特徴です。
鏡台も静岡の家具として有名です。
桑材の中でも三宅島に育つ島桑(しまぐわ)は見る角度によって濃淡が違って見える美しい斑入り模様。
島桑はケヤキなどと並んで江戸指物の人気素材で、静岡でも鏡台などが作られましたが今ではほとんど手に入りません。

作れば売れる時代から付加価値の高いものづくりへ

洋風家具への転換を模索中、県のデザインセンターから韓国の李朝家具を紹介され、その簡潔なデザインに惹かれてサランバンシリーズを開発。
李朝家具を現代風に一層シンプルに、指物技術を活かして脚や扉をすっきりと仕上げ、面材には鉄刀木(タガヤサン・紫檀などの唐木の一種)を使用。
ショールームには少し小振りのローズウッドのものがありました。
指物技術を活かしたコンソールテーブルも繊細な作りです。
テーブルトップには縁どりとひもと呼ばれる細いラインが組まれています。
少し足高のチェスト。明るい色はメープル材。モダンな雰囲気でマンションにも合いそうです。
つまみはポイントに濃色の花梨(かりん)を使っています。
シンプルな棚も凝った素材の魅力で玄関ホールなどのアクセント家具になりそうです。
スペースを利用して壁面に格納できる仏壇です。両開きの扉はサイド奥に引き込まれ場所をとりません。

指物家具のいろいろはいかがでしたでしょうか。
次回はこれらの延長上に誕生した「祈りの家具」をご紹介しましょう。

(C) ABC HOUSING

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