火山の大噴火による火砕流堆積物である「シラス」を材料とする塗り壁材を開発、製造販売する
高千穂シラス株式会社をお訪ねしました。
シラス採取場。
鹿児島湾北部の姶良カルデラの大噴火(2万5千年前)による火砕流が厚いシラス台地となって堆積。空中に噴出される火山灰とは違うもの。
天日乾燥工程の様子。
サラサラした粒子のため粉砕加工が不要、焼成の工程も不要、乾燥は天日で環境に負荷の少ない省エネ製造です。
シラス粒子の顕微鏡写真。
マグマの超高温で焼成された無機質セラミック物質で、多孔質な構造のため調湿機能やにおい・化学物質を吸着する性質があります。
調湿機能やシックハウス対策機能などしっくいや珪藻土と比べてもより速く強く持続する効果があるとのことです。
消臭機能も強力で、旅館などで喫煙客の翌日、同じ部屋にタバコを吸わないお客様をお通ししても大丈夫だそうです。
住環境がシックハウス症候群に及ぼす影響の評価・研究を千葉大医学部との共同研究で進行中。
石膏ボードに直接塗ります。専用のテープとのりで継ぎ目を処理。
コテで塗っていくのは他の左官壁と同じです。
仕上げのコテはしっくいのように強く押えず、最後に刷毛やローラーで表面の模様を付けます。
表面の模様はいくつかあります。
シラスは多孔質構造の粒子なので、しっくいのような平滑な表面にはならないということです。
既存のビニールクロスははがさず、継ぎ目など要所をタッカーで押えます。
上からシーラーを塗り、シラス材の付きをよくします。
コテではなく、塗装の感じでローラーで塗りつけます。
または、クロス職人さんが使うパテのヘラで塗りつけます。
最後は表面に模様を付けるスポンジで軽くなでて出来上がり。
今回は二つの趣の違う塗り壁と想定してお訪ねしたのですが、思いがけずはっきりとした共通点がありました。
どちらも100%の自然素材を貫いていること、創意工夫の精神にあふれていることです。
伝統的な工法も常に創意工夫を続けてきたからこそ、今日まで生き残っているのかもしれません。
(2011.07.14更新)