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スキップフロアで開放感ある住まいに!取り入れたい魅力や注意するべき点とは?

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スキップフロアは、高さの異なる床を組み合わせて構成される間取りです。限られた空間でも、開放的でおしゃれな雰囲気を演出できると人気が高まっています。今回は、スキップフロアの魅力やメリット、注意する点を紹介します。デザインの実例もまとめたので参考にしてみてください。

スキップフロアとはどのようなスペース?

スキップフロアは、限られた敷地でも広い空間を叶える方法として注目を浴びています。しかし、スキップフロアのある家は「実際にどのような空間になるのかよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、スキップフロアの定義や魅力、特徴について紹介していきます。スキップフロアの用途は豊富にあるので、ぜひ参考にしてみてください。

スキップフロアの定義

スキップフロアとは、一つの空間に異なる高さの床を設け、中2階や中3階といった中間層をつくる方法です。

一般的に、床から少し高さを出したフロアを「小上がり」と呼び、基本となる床よりも低い部分を「ダウンフロア」と呼びます。また、1階と2階の間に設けられた階は「中2階」と呼ぶなど、スキップフロアにはさまざまなスタイルがあります。

スキップフロアの魅力や特徴

段差を活用して空間を仕切るスキップフロアは、空間を細かく仕切る壁や扉などを極力減らした間取り構成が特徴です。視界を遮るものが少なく、それぞれのフロアがゆるやかにつながっているため、視覚的な広がりを感じられます。

また、部屋と部屋を廊下でつなげる必要がないため無駄なスペースが減り、リビングや部屋のスペースを広げられることが大きな魅力です。このように、1階でも2階でもない中間層にフロアを設けられるスキップフロアを間取りに取り入れることで、開放的な住まいを実現できます。

スキップフロアがもたらす7つのメリット

スキップフロアには多くのメリットがあります。しかし、実際に見たり住んだりしたことがない方は、どのような空間がつくれるのかイメージしにくいものです。そこで、ここからはスキップフロアの主なメリットを7つ紹介します。

1.空間を有効活用できる

スキップフロアの最大のメリットは、空間を有効活用できることです。一般的な家の場合、空間を横方向に使用して部屋を配置しますが、スキップフロアは縦方向の空間を活用し、通常の1階や2階にプラスして中間層にも床をつくります。

さらに、廊下をつくらない間取りのため床面積に余裕が生まれ、子どもの学習スペースや趣味のスペース、書斎などを実現しやすくなるのが特徴です。

2.明るく開放的な空間をつくれる

高低差のあるリズミカルなフロア構成のスキップフロアは、視線が上下や斜めに動きます。そのため、通常の間取りと比較すると奥行きが生まれ、開放的に感じられます。

また、壁など遮るものが少なく、空間全体がゆるやかにつながっています。窓の位置や大きさ、スキップフロアの配置によって外からの光が部屋の奥まで届きやすくなり、空間を明るく快適に演出してくれるのです。

3.おしゃれな雰囲気づくりができる

スキップフロアを取り入れると、床の高さに変化のある立体的で開放的な空間が生まれます。そのため、過ごす場所や見る角度によってさまざまな景観や雰囲気を楽しめるのも魅力の一つです。

スキップフロアは、通常の間取りでは実現できない特別感のあるおしゃれな空間を演出できます。

4.どこにいても家族の気配を感じられる

壁や扉をほとんど設けず、高さの異なる床で構成するスキップフロアは、それぞれの空間をゆるやかにつなげることで一つの大きな空間をつくっています。

そのため、別々の場所にいてもお互いの気配や様子をさり気なく感じられるのです。また、床の高さはそれぞれ異なるので、目線の高さが適度にズレて心地よく過ごせます。

スキップフロアに子どものプレイルームや学習スペースをつくると、リビングやダイニングから子どもの様子を見守りやすく、いつでも安心して家事やリモートワークができるでしょう。

5.限られたスペースでも床面積を増やせる

建築基準法上、3階建てを建てられない場合や狭小住宅のように床面積が限られているときは、1階と2階だけでは十分なスペースを確保できないこともあります。このような場合に、床面積を増やす方法としてスキップフロアは非常に有効です。

スキップフロアは複数の床を設けられるうえに廊下がないため、床面積全体を居住空間や収納スペースとして無駄なく活用できます。

さらに、1.5階や2.5階、または1階から数段下げたスペースなど、多層式に構成すると床面積を無理なく増やせます。床面積が増えると使用できる用途を増やせるため、収納スペースを追加したり憧れの書斎を設けたりと、より理想的な住まいを実現しやすくなるでしょう。

6.段差を利用して収納スペースをつくれる

スキップフロアで生まれた段差の下部は、収納スペースとして無駄なく活用できます。また、床を高くするとその分床下収納の空間を広くとれます。そのため、狭小住宅のようにスペースに余裕がない場合でも、豊富に収納スペースを確保することが可能です。

一方、天井の低い収納スペースを設けることで生まれるメリットもあります。建築基準法上、天井高1.4m以下の収納は直下階の床面積の1/2未満であれば床面積に加算されず、固定資産税の対象にもなりません。

そのため、容積率の制限などで十分な収納を確保できない場合でも、快適な居住空間を実現しやすくなるでしょう。

7.高低差のある土地の形状を活かせる

高低差のある傾斜地でも、スキップフロアは活躍します。一般的に傾斜地に家を建てる場合は造成工事をして土地を平らにしますが、その分余計な施工費用がかかってしまいます。

しかし、スキップフロアは土地の自然な勾配を利用した空間づくりができるのです。傾斜地は比較的土地の値段が安いため、「眺めのよい家に住みたいけど土地の値段は安くおさえたい…」という方は、あえて傾斜地を選ぶことも一つの方法でしょう。

スキップフロアの注意するべきポイント

メリットの多いスキップフロアですが、注意するべきポイントもあります。階段があり空間を段差で区切る特殊な間取りだからこそ、取り入れる際には気をつけるべき点がいくつかあります。住まいにスキップフロアを検討している方は、以下のポイントを参考にしてください。

階段が増えるため高齢になると生活しにくい

スキップフロアは階段を多く配置するため、家族に高齢者がいる場合は生活しにくいでしょう。ただし、それぞれの階段は段数が少ないため、通常の2階建てよりも体への負担を軽減できるという考え方もあります。

いずれにしても、車椅子を使用するようになった場合には行動範囲が狭まってしまうので注意が必要です。

また、スキップフロアのある家は完全なバリアフリーの住宅にはできません。万が一、階段の上り下りが難しくなった場合は、ホームエレベーターなどを使用して対応することになります。

安心して暮らし続ける住まいをつくるためには、ある程度自分自身が高齢になったときのことも考えて計画を立てることが大切です。

室温の管理が難しい

スキップフロアには細かい仕切りがなく、大きな一つの空間の中にさまざまな高さの床があります。このような構造のため室温の管理が難しく、エアコンの効きが悪くなったりフロアによって温度にムラがでたりと問題を生じやすくなるのです。

この解決方法として、住まいの気密性や断熱性を向上させる必要があるでしょう。上方に暖かい空気が溜まったり下方に冷たい空気が溜まったりしないよう、シーリングファンやサーキュレーターを活用して空気を循環させる工夫が必要です。

また、快適性を向上させるために床暖房を導入することもよいでしょう。

建築費用が高くなりやすい

高低差のある床で構成されているスキップフロアは、間取りが複雑なため通常の住まいよりもプランニングや施工に豊富な経験や知識が必要とされます。

そのため、同じサイズの家を建てる場合と比較すると手間や材料費がかかり、施工期間も長くなるでしょう。さらに、壁が少ないため耐震性を確保する必要もあり、全体的に建築費用が上がってしまうのです。

設計に細かい配慮が必要

一つの空間をさまざまな高さの段差で構成する複雑な間取りのため、光や風の取り込み方、音の響き方、プライバシーの確保など多方面から考えて設計する必要があります。そのため、通常の戸建て住宅よりも細かい配慮がプランニングに求められるのです。

また、特殊な構造をしているため、施工経験が豊富な業者に依頼することもスキップフロアを取り入れた家づくりの重要なポイントです。設計に細かい配慮は必要ですが、時間をかけて計画することで他にはない個性的でおしゃれな注文住宅を実現できます。

スキップフロアのあるおしゃれな家の実例

最後に、スキップフロアのあるおしゃれな家の実例を紹介します。スキップフロアのある暮らしや魅力をより詳しく理解して、家づくりの参考にしてください。

【実例1】スキップフロアで2階建てに8層もの空間を叶えた家
スキップフロアを臨むリビングダイニング
子どもの様子をさり気なくうかがえる吹き抜けに面したキッズスペース

こちらは、縦方向への空間を無駄なく使い、2階建ての中に8層もの空間を実現した住まいの実例です。スキップフロアをバランスよく配置しながら、キッズスペースやボールプール、ロフトなどさまざまな空間を設けて楽しげな雰囲気づくりをしています。

玄関からリビングダイニング、キッチン、洗面室や浴室といった生活の中心となる部分は、床の高さを揃えてひとまとめに。また、家の中心に配置した吹き抜けには、スキップフロアを設けてデスクを設置しています。

そのため、パソコン作業や趣味などさまざまな用途で使用でき、上下階にいる家族の様子もうかがえるのも嬉しいポイントです。

また、その下にはゆったりとした収納を設けているため、スーツケースやアウトドア用品などの大きな荷物を収納でき、パントリーとしても便利に使えます。

スキップフロアによって空間にアクセントが加わり、リビングダイニングの雰囲気もアップ。縦方向に抜ける開放感も抜群です。さらに、吹き抜けに面したキッズスペースからは子どもの声が聞こえやすく、下階から声掛けもしやすいため子育て世代には大きなメリットです。

家族がお互いの気配をさり気なく感じながら安心して暮らせる、理想的な住まいです。

【実例2】用途に合わせた空間使いは必見!スキップフロアの魅力を最大限に引き出した2世帯住宅
ダウンフロアに設けたおしゃれなリビング
スキップフロアの上下を活用したキッズスペース

こちらは、スッキリと無駄のない空間づくりが美しい3階建て2世帯住宅の実例です。それぞれの世帯のプライバシーを確保しながら、さまざまな用途のスペースをスキップフロアでスムーズにつなげています。

ファミリーライブラリーやファミリーシアター、キッズスペースは、スキップフロアを活用して家族が通る動線上に配置。この配置にすることで、それぞれの空間を誰もが気兼ねなく使用できるうえに、子どもの様子も見守りやすくなります。

また、実例写真のように基本のフロアの高さよりも数段下げたダウンフロアは、リビングに最適なスペースです。目線が下がることで落ち着いた雰囲気を演出でき、天井も高くとれます。

窓を多く設けているため日差しがたっぷり注ぎ込み、家族が思わず集いたくなる快適なリビング空間に仕上がっています。

【実例3】天井の高い開放的なサンクンリビングのある住まい
明るく快適なサンクンリビング
スキップフロアに設けたリラックススペース

こちらは、サンクンリビング(床を一段下げたスペース)やスキップフロアを設けて、家族が自然に集まれるように間取りを工夫した2階建ての住まいの実例です。

この家の中心的存在であるサンクンリビングは、高天井と大きな窓で構成されており快適さ抜群です。また、高窓も設けることで風通しにも配慮しています。

家族の通り道となるスキップフロアにはリラックスチェアや本を置き、ゆっくり過ごせるスペースになっています。このように、家族の気配を感じながらリビング全体を見渡せるスペースづくりは、スキップフロアだからこそ実現できます。

スキップフロアの特徴を活かして自分らしい家づくり

縦方向の空間を最大限に活用できるスキップフロアは、家のどこにいても家族の気配を感じやすく、変化に富んだオリジナリティの高い豊かな空間づくりができます。

今回紹介したスキップフロアの特徴や注意点を参考に、快適で安心して暮らせる自分らしい家づくりをはじめてみましょう。

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一度にいろいろなモデルホームを見比べたり、体感できるから、
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