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子育て世代へ「こどもエコすまい支援事業」で省エネ住宅を。詳しい概要や申請方法を紹介

お金

近年、カーボンニュートラルなど環境配慮の観点から、省エネ住宅に関する補助金が増えてきました。そこで今回は、令和4年11月に閣議決定されたばかりの「こどもエコすまい支援事業」を紹介します。これから住宅購入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

こどもエコすまい支援事業とは?概要について詳しく解説

こどもエコすまい支援事業は、省エネ住宅の新築や住宅の省エネリフォームを支援する目的で設置されました。国の予算を基に支援される補助金であるため、おおまかな申請期限は決められているものの補助上限に達したら終了となります。

そのため、購入する不動産業者やリフォームを依頼する業者等とスケジュールを確認することがおすすめです。ここからは、こどもエコすまい支援事業の制度趣旨や概要について解説します。

こどもエコすまい支援事業の制度趣旨

こどもエコすまい支援事業は、国土交通省と経済産業省、環境省が連携して取り組む制度です。国土交通省が公表しているこどもエコすまい支援事業に関する資料によると、制度の目的として次のように紹介されています。

本事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることを目的とした事業です。

引用元 : 国土交通省 こどもエコすまい支援事業について

なお、こどもエコすまい支援事業における子育て世帯とは、18歳未満の子を有する世帯です。また、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが39歳以下の世帯を指します。

ZEHとは?エコだけでなく節約にもつながる

こどもエコすまい支援事業の補助金対象条件として、ZEHレベルを有することが求められています。ZEHとはゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、太陽光発電などでつくるエネルギーと、家庭で消費されるエネルギーの収支を実質ゼロ以下にする住宅のことです。

ZEH住宅は補助金が受けられるだけでなく、住宅の設備等によってエネルギーがつくられるため、長期的にみると光熱費の削減につながります。さらに、新築住宅や注文住宅でZEHにする場合、住宅ローン控除の対象となるローン残高の上限が引き上げられます。

また、住宅ローン契約でフラット35を利用する場合は金利引き下げの対象にもなるため、住宅購入でZEH以外を選ぶよりも税制面や金利で優遇されます。
さらに、ZEHは断熱性が高いという特徴もあるため、冬場のヒートショック防止になるなど家族の健康を守れるでしょう。このほかにも、ZEHでは太陽光発電などでエネルギーを作り出せるため、災害時に停電になった場合でも有効です。

このように、ZEHは補助金のためだけではなく、長く住み続ける家として適しています。

こどもエコすまい支援事業の補助対象

こどもエコすまい支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅の新築や住宅リフォームをする場合に補助対象となります。ただし、住宅リフォームに関しては、子育て世帯や若者世帯以外も対象です。そのため、対象となるリフォームを行う場合であれば、世帯は関係なく支援を受けられます。

こどもエコすまい支援事業・対象要件と補助金額

こどもエコすまい支援事業の対象となる要件と、それぞれの補助金額について解説します。

こどもエコすまい支援事業の補助対象となる条件
注文住宅や新築住宅の場合

子育て世帯や若者夫婦世帯が、自ら居住することを目的として注文住宅を建築する場合や新築住宅を購入する場合、その建物は次の条件を満たすことで補助対象となります。

注文住宅の対象条件

  •  ●注文住宅の建築請負契約が令和4年11月8日から令和5年12月31日までの間に契約されること
  •  ●建築する住宅はZEH、または令和4年10月31日以降に認定申請を済ませた認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅のいずれかであること
  •  ●延べ面積が50平方メートル以上であること
  •  ●土砂災害警戒区域に立地する場合は対象外となる
新築住宅の対象条件

  •  ●新築住宅購入に際する売買契約を令和4年11月8日から令和5年12月31日までに行うこと
  •  ●購入する新築住宅はZEH、または令和4年10月31日以降に認定申請を済ませた認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅のいずれかであること
  •  ●延べ面積が50平方メートル以上であること
  •  ●土砂災害警戒区域に立地する場合は対象外となる

建物の条件としてZEHレベルを有していることなどの条件がありますが、同時に立地条件も指定されていることは注意しましょう。注文住宅および新築住宅のいずれも、建物が土砂災害警戒区域に立地している場合は補助対象外となります。

さらに次のような細かい指定もされているため、注文時や購入時には立地環境についても確認しましょう。

「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域又は浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、3戸以上の開発又は1戸若しくは2戸で規模1,000㎡超の開発によるもので、都市再生特別措置法に基づき立地を適正なものとするために行われた市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅は除外する。

引用元 : 国土交通省 こどもエコすまい支援事業の概要

補助対象となる住宅に関する詳細

注文住宅や新築住宅の購入で補助対象となるには、ZEHまたは認定長期優良住宅等である必要があります。

ZEHの詳細として 強化外皮基準かつ再エネを除く一次エネルギー消費量▲20%に 適合するもので、NearlyZEH、 ZEHOrientedも含むとしています。なおNearlyZEHやZEHOrientedとは、最も性能の高いZEHにより近づける環境性能の住宅です。

延べ面積は 50平方メートル以上を条件としていますが、細かい面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(吹き抜け、バルコニー、メーターボックス部分は除く)により算定します。なお建物内に階段が存在する場合、階段下のトイレ及び収納等の面積も含めます。

こどもエコすまい支援事業の補助金額

こどもエコすまい支援事業の補助金額は、子育て世帯・若者夫婦世帯が注文住宅を建設する場合と、分譲新築住宅を購入する場合は1戸あたり100万円です。対象となるリフォームを実施した場合には、全ての世帯が最大60万円の補助が受けられます。

こどもエコすまい支援事業の申請方法

ここからは、こどもエコすまい支援事業の申請について解説します。こどもエコすまい支援事業では、新築住宅の購入者やリフォームを行う住宅の所有者が自ら行う申請はありません。住宅メーカーやリフォーム業者が代理申請をします。

こどもエコすまい支援事業の手続きは事業者が行う

こどもエコすまい支援事業では、新築住宅購入者やリフォームを行う住宅の所有者が手続きをすることはありません。購入先の住宅メーカーや宅建業者、リフォーム業者が申請者となって補助金の手続きを行います。

この際、住宅メーカーや宅建業者、リフォーム業者はあらかじめ事業者登録をしておく必要があります。つまり、どの業者でもこどもエコすまい支援事業の補助申請ができるわけではなく、あらかじめ決められた期間内に事業者登録を済ませた業者のみが対応できるのです。

対象となる住宅を購入する場合やリフォームを行う場合であっても、対応する業者が事業者登録をしていない場合には補助金の申請自体ができないことになります。そのため、住宅購入やリフォームにあたっては、必ず業者等へこどもエコすまい支援事業の事業者として登録しているかを確認しましょう。

【参考】こどもエコすまい支援事業・申請手続きの流れ

ここからは、こどもエコすまい支援事業の申請手続きのおおまかな流れについて、参考として紹介します。

こどもエコすまい支援事業・申請手続きの流れ

  •  1.令和4年12月中旬ごろまでに業者等が事業者登録を行う
  •  2.令和4年11月8日から令和5年12月31日までの間にリフォーム工事請負契約や住宅購入契約を締結する
  •  3.令和5年12月31日までに着工する
  •  4.令和5年12月31日までに交付(完了)申請をする
  •  5.新築住宅購入の場合は令和6年7月31日までに住宅引き渡し・入居を行い完了報告を提出

こどもエコすまい支援事業と他の補助金との併用はできる?

ここからは、こどもエコすまい支援事業と他の補助金の併用について、新築購入の場合とリフォームの場合に分けて解説します。

こどもエコすまい支援事業は国の補助金制度であるため、原則として国が実施している他の補助金制度は併用できません。自治体単位で実施している場合には併用可能ですが、その補助金に国費が充当されている場合は併用できないため注意が必要です。

自治体が実施している補助金に関しては、当該自治体窓口へ併用可能かどうかを尋ねると良いでしょう。

こどもエコすまい支援事業・新築住宅および注文住宅の場合
新築住宅・注文住宅を対象とした補助金で併用可能なもの

  •  ●住まいの復興給付金
  •  ●外構部の木質化対策支援事業
新築住宅・注文住宅を対象とした補助金で併用できないもの

  •  ●地域型住宅グリーン化事業
  •  ●ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
  •  ●戸建て住宅ZEH化等支援事業
こどもエコすまい支援事業・リフォームの場合

新築住宅や注文住宅の場合と同様に、リフォームの場合でも原則として国が実施している他のリフォーム補助金との併用はできません。また、自治体補助金に関しても同様で、国費が充当されている補助金は併用できないため注意しましょう。

ただし、リフォームの工事請負契約が別である場合には他の補助金も併用できます。つまり、一つの住宅に対するリフォームであっても、別契約であれば別の補助金も使えるということです。

請負工事契約が別であれば併用できる補助金

  •  ●外構部の木質化対策支援事業
  •  ●住宅・建築物安全ストック形成事業
  •  ●ZEH化による住宅における低炭素化促進事業
  •  ●次世代省エネ建材支援事業
請負工事契約および工期が別であれば併用できる補助金

  •  ●長期優良住宅化リフォーム推進事業
  •  ●住宅エコリフォーム推進事業
  •  ●住宅・建築物省エネ改修推進事業
リフォームの場合は3省連携ワンストップ補助金も利用可能

対象となるリフォームを実施し、さらにこどもエコすまい支援事業の補助金を受ける場合「3省連携ワンストップ補助金」の対象となることがあります。補助対象が重複していなければ、以下に紹介する補助金も同時に申請ができます。

3省連携ワンストップ補助金(省エネ改修等)

  •  1.【経済産業省・環境省】住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業等
  •  2.【経済産業省】高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金
  •  3.【国土交通省】こどもエコすまい支援事業

1の補助金では、高断熱窓等の設置が対象となります。既存の窓から、高断熱窓(建材トップランナー制度2030年目標水準値を超えるものなど、一定の基準を満たすもの)への断熱改修工事が対象となります。補助額は工事内容に応じて定額補助され、補助率は1/2相当で1戸あたり最大200万円です。

2の補助金では、高効率給湯器の設置を対象としています。こちらは、一定の基準を満たした高効率給湯器の設置をする場合に補助金が受けられます。また、補助金額は機器ごとに定額が設けられていますよ。

3のこどもエコすまい支援事業は、国土交通省が管轄しています。3省連携ワンストップ補助金の対象となるのは、開口部・躯体部等の省エネ改修工事です。こちらは、住宅の開口部・壁等に対する一定の断熱改修や、エコ住宅設備の設置等の省エネリフォームを行う際に支援されます。詳しい補助対象や補助金等は、前述の通りです。

こどもエコすまい支援事業・まとめ

こどもエコすまい支援事業は、新築購入や注文住宅では子育て世帯や若者夫婦世帯のみを対象とし、1戸あたり100万円まで支援する事業です。対象となるリフォーム工事を行う場合では、子育て世帯や若者夫婦世帯も含めたすべての世帯が対象となります。

このような補助金制度を設置しているということは、国を挙げて環境性能の高い住宅への支援をしているということが分かります。これから2050年カーボンニュートラルを目指すにあたり、省エネ性能の高い住宅を増やしていくことは私たちの将来を守ることにも繋がるのです。

これから住宅購入やリフォームを検討する場合は、当記事を参考にこどもエコすまい支援事業の活用を検討してみてください。

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