「注文住宅の契約はどのような流れで進む?」「どのようなことに注意すべき?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、注文住宅の契約の流れについて
- ●注文住宅の契約の流れ
- ●注文住宅の契約書の確認事項
- ●注文住宅を契約する時の注意点
- ●注文住宅の購入に必要な費用
を体系的に紹介します。
注文住宅の契約の流れを理解できるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
注文住宅の契約の流れ
注文住宅を購入する際の契約の流れを明確に理解することはとても重要です。初めて家を建てる人にとっては、どのように進めれば良いのかわかりにくいことも多いでしょう。
ここでは、契約の初期段階から完成と引き渡しまでの基本的な流れを解説します。流れを理解し、安心して契約を進めてください。
予算を検討する
注文住宅を建てる際には、まず予算を検討しましょう。予算の計算では、注文住宅にかかる費用の概算と、可能な住宅ローンの借入額を理解することが肝心です。
多くの人は住宅ローンを利用して注文住宅の購入をするでしょう。金融機関から借りられる金額は、それぞれの金融機関が提供している住宅ローンシミュレーションツールを利用することで、簡単かつ迅速に把握することができます。
予算の計算は住宅購入への現実的なプランを立てる第一歩になるので、早めに行いましょう。
イメージを考える
家を建てる際のイメージを考えることで、建てる場所や間取り、デザインの希望を明確にできるでしょう。具体的なイメージを持つことで、後のハウスメーカー選びや相談がスムーズに進みます。
まず、間取りに関しては、多くの事例集を参照し、理想に近いものを選ぶことがおすすめです。そして、家族全員で意見を出し合い、こだわりたいポイントをメモすることも重要です。
耐震性や間取り、豊富な収納空間など、家族の希望を明確にすることで、ハウスメーカーとのコミュニケーションが円滑に進み、理想の家づくりを実現できます。
このような準備を通じて、家づくりはより具体的かつ効果的に進められ、夢の家が現実に一歩近づくでしょう。
ハウスメーカーを選定する
注文住宅の準備段階を終えた後は、ハウスメーカーの選定が必要です。多くのハウスメーカーはお客様の土地探しのサポートをしており、通常の市場価格よりも安価な「建築条件付き土地」を提供する場合もあります。
建築条件付き土地は、予算を抑えたいと考えている方にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
総合住宅展示場に足を運べば、複数のハウスメーカーのモデルハウスを一度に比較できます。これにより、多様な選択肢から自身のニーズや予算に最も適したハウスメーカーを選定することができるでしょう。
プランの打ち合わせと見積もりを確認する
建築プランの打ち合わせでは、間取りや内装、外壁、設備など、各要素について細かく設定し、最終的な見積もりを決定していきます。
建築に使用する床材やクロス、外壁塗装の種類まで、細部にわたって選択と決定を重ねることになります。そのため、注文住宅のコストは高額になりやすい点を念頭に置くことが重要です。
各項目の優先順位を明確にし、どの部分でコストを抑えるかを事前に決めておくことで、予算内で理想に近い住宅を実現できるでしょう。例えば、キッチンやバスルームの設備に投資し、他の部分はシンプルにするといった優先順位の設定が考えられます。
工事請負契約を締結する
ハウスメーカー選びが終了したら、続いて、工事請負契約の締結が必要です。
契約を結ぶ際には、希望する仕様や設備が契約内容に明記されていることを確認し、未然に追加費用の発生を避けることが大切です。工事請負契約の段階で、契約内容をしっかりと理解することで、安心して家づくりを進められます。
担当者との信頼関係を築きながら、家づくりの成功に向けた重要な一歩を踏み出しましょう。
着工
プランが確定すると、着工します。最初に重機の通行や騒音による影響に配慮し、近隣の住民への挨拶が必要です。
これは建築会社の現場監督に依頼することも可能ですが、個人的に挨拶をすることで良好な関係を築けることもあります。着工前には安全を祈願する地鎮祭を行う場合もあり、これは施主の希望により選択することができます。
また、骨組みが完成した際には上棟式を行う風習もあり、これも施主の希望で決定できる要素です。最近では上棟式をやらない人も増えてきており、必ずしも行うべき行事であるという考え方は薄れてきています。必要だと感じる場合は実施しましょう。
竣工と引き渡し
建物が竣工したら、まず市区町村による完了検査を受けます。この検査は、提出された建築確認申請書の内容通りに建物が建てられているかを確認するものです。
問題がなければ検査済証が発行され、法的に建物が完成したと認められるものです。その後、建物の正式な引き渡し前に、施主が立ち会って最終的なチェックを行います。
このチェックでは、設備の動作や内外装に傷や汚れがないか、そして指定された仕様通りに作業が完成しているかを確認します。気になる部分や不具合があれば、修正を依頼して、修正工事が完了したら正式な引き渡しです。
注文住宅の契約書の5つの確認事項
契約書は、注文住宅の購入の手続きにおいて重要な書類です。
契約書には、建物の仕様や価格、支払い条件、建築スケジュールなど、契約に関する重要な内容が記載されています。
ここでは、契約書を確認する際に特に注意すべき5つのポイントを解説します。
工事と見積もり内容が正しいか
住宅の見積もりを受ける際、金額だけではなく工事内容をしっかりと確認し、見積もりとの整合性を確認することが重要です。
土地の条件は、建築できる住宅の基準や条件に大きく影響し、地域によっては法律の規制により制限がかかることもあります。
ハウスメーカーや工務店から見積もりをもらったとき、その土地の条件と工事内容が正しいかを確認することが大切です。また、見積もりの際には工事の詳細や使用する材料、設備の品質なども確認しましょう。これらの確認をすることで、理想の住宅を安心して建築できるでしょう。
見積もり金額と内容を確認する
見積もりの内容と費用の総額の確認は、家づくりを進める上で重要です。見積書は会社によって形式が異なり、いくつかの項目や記載内容に差がある可能性があります。
不親切な会社では、工事費用のみが記載されており、設備や人件費に関する情報が欠けているケースも少なくありません。これは後々の予算計画に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
申込金の返金があるのかを確認する
仮契約の段階で申込金を支払うことがありますが、仮契約は本契約とは異なり、キャンセルすることもできます。ただし、申込金の取り扱いは会社ごとに異なるため、注意が必要です。
本契約前にキャンセルする場合、申込金を全額返還してくれる会社もありますが、一定の日数が経過した後は返還が難しい、あるいは一部しか返還されない会社もあります。
仮契約は通常書面で行われるため、仮契約書において申込金の取り扱いが明確に記載されているかをチェックすることも大切です。
内容を細かく確認し、仮契約と申込金について理解することで、後々のトラブルや誤解を避けることができます。
工事期間の変更や違約金について確認する
本契約においては、工事の開始日や完了予定日、そして引き渡し日が明記されていることが一般的です。
これらの日付は家づくりを進めるにあたって重要で、計画通りに進まなかった場合の施工会社から支払われる違約金についても確認しておくことが重要です。
なお、災害によって工事が遅れた場合は、例外的に施工会社の責任が軽減されるなどの特別な対応があるかもしれません。このような特約についても事前に確認しておくことで、予期せぬ問題に直面した際の対処ができるでしょう。
工事の日付を具体的に決める
先述したように、本契約を締結する際には工事の着工日や完了日、引き渡し日について具体的な日付を明記してもらうことが大切です。これは、工事の完了が遅れるとさまざまな問題が起きる可能性があるためです。
例えば、現在の家の売却日や賃貸契約の終了日の変更や、子供の入学のタイミングに影響が出ることもあります。遅れが発生した場合、遅延損害金の請求が出てくる可能性もあるため、日付が明確に契約書に記載されているか確認しましょう。
注文住宅を契約する時の5つの注意点
注文住宅を契約する際には、多くの注意点があります。ここでは、安心して契約を進めることができるよう、契約する前に知っておくべき5つの注意点を紹介します。
注文住宅の契約で失敗しないためにも一つずつ確認していきましょう。
契約内容の変更や追加工事
本契約を締結した後に工事内容に変更や追加を行うことは、トラブルの原因となります。このようなトラブルは大きく二つのケースに分かれて発生します。
一つは、工事が進行中に変更を加えたい場合です。
もう一つは「細かいところは後で決めましょう」と言われ、後々トラブルが起こるケースです。
どちらのケースでも、変更や追加により追加費用が発生し、当初の見積もりを大幅に超える可能性があります。
この結果、予算オーバーや期待とのギャップからトラブルが生じることが多いです。このトラブルを避けるためには、本契約を締結する前に工事の詳細をできるだけ具体的にまとめておくことが重要です。
具体的な工事内容や仕様、コストを明確にし、何が含まれていて何が含まれていないのかを理解しておきましょう。
工事が遅れる
注文住宅の工事における工期の遅れは、施主にとっては深刻な問題を引き起こします。通常、施主は工事の完了日を見越して現在の家の契約を終了させ、新居への引越しの準備を整えます。
しかし、工事が遅れるとその計画が狂い、再度住む場所を探して引越しをする必要が出てくるでしょう。そのため、引越し費用が発生するだけではなく、仮住まいを見つけることへのストレスや手間にもつながります。
万が一の遅延に備えて補償があるかを確認し、補償がない場合は、工期完了日と引越し日に余裕をもってスケジュールを組むことが大切です。
工事の遅延が起こってもスムーズな引渡しを受ける準備をしておくことで、引越しを安心して進めることができるでしょう。
ローン特約をつけておく
ローン特約は、注文住宅の工事請負契約において重要な項目となります。これは、ローンの本審査が通らない場合に、工事請負契約を白紙に戻すことができる特約です。
この特約がない場合、ローンの審査が通らなかったとしても、工事請負契約はそのまま有効となり、工事が進行してしまいます。これは施主にとって大きなリスクとなるため、契約書にローン特約が明記されているか確認することが大切です。
もしローン特約が含まれていなければ、その旨をハウスメーカーや工務店に相談し、ローン特約を含めるよう要求することが重要です。これにより、ローン審査に不安がある場合でも、無理なく工事請負契約を進めることができます。
支払いスケジュールを確認しておく
注文住宅の建築に際し、建築費用の支払いスケジュールは重要な要素であり、契約内容により異なります。通常、支払いは契約時、着工時、上棟時、および引渡時の4回に分けられます。
支払いのスケジュールと、それぞれのタイミングでどれだけの費用がかかるのかを明確にしておきましょう。特に、住宅ローンを利用する場合、融資は基本的に建物の引渡し時に始まります。
そのため、それまでの3回分の支払いについては「つなぎ融資」という制度を利用することが一般的です。つなぎ融資は、住宅ローンの融資が実行されるまでの間に土地や建物の支払いを前借りすることができる制度です。
つなぎ融資を利用する際は、利息や条件を理解し、無理のない支払いスケジュールを確認することが不可欠です。
これらを確実に理解し、工事請負契約書の記載内容をきちんと確認することで、安心して注文住宅の建築を進めることができます。
注文住宅の購入に必要な費用とは
注文住宅を建てるための費用は、購入費用の中でも多くの割合を占めています。
ここでは、予算の計画をしっかりと立てることができるよう、注文住宅の購入に必要な主な費用を解説します。事前にしっかりと予算組みができるように、一つずつ見ていきましょう。
本体工事費
注文住宅を建てる際の総予算の大きな要素は本体工事費で、通常は「建築費」として呼ばれます。
本体工事費はいくつかの主要な費用から構成されており、それぞれが家づくりの異なる段階で発生します。
- ●仮設工事費:仮設材料にかかる費用と仮設工事費用が含まれています。
具体的には、仮囲いや養生シート、仮設トイレなどの現場での工事を安全に進めるために必要な設備の設置費用のことです。 - ●基礎工事費:仮設工事の後、建物の土台部分を作成する費用のことです。
- ●屋根工事費:屋根の工事にかかる費用のこと。屋根の材質、形状、耐久性能の高さにより費用が異なります。
- ●内装工事費:内装工事にかかる費用のこと。床、壁、天井の材料が必要で、材質などによって費用が異なります。
- ●設備工事費:水道、ガス、電気などの基本設備や、キッチン、バスルーム、トイレなどの設備を設置するための費用です。
本体工事費はこれらの要素を合わせて総合的に計算され、建築費の中で大きな割合を占めています。
附帯工事費
附帯工事費は、注文住宅を建築する際に本体工事費以外で発生する費用のことで、ケースによってその内容や金額は異なります。
外構工事は、門柱や柵の設置、駐車場の舗装、庭の整備などを含み、注文住宅の完成度を高める重要な要素です。
地盤改良工事は特に地盤が弱い場合に重要で、家の沈下やひび割れを防ぐための地盤補強を目的としています。
また、敷地に古い家が残っている場合は、解体工事が必要です。さらに、設計料は設計事務所に支払う費用で、家の設計に関連する作業をカバーします。
これらの附帯工事費は家を実際に建築する過程で発生し、家づくりの特定の条件や要件に応じて具体的な内容や金額が異なります。注文住宅全体の費用を計算する際には、これらの要素を慎重に考慮しましょう。
諸費用
注文住宅を建てる際には、本体工事費や付帯工事費以外にも多くの費用が発生します。通常、諸経費には申請手数料や確認検査費、仮設水道・電気工事費などが含まれます。
また、建築費や不動産の評価額に基づいて決まる固定資産税や消費税などの税金も忘れてはいけません。登記費用は法的権利を公に記録するために必要で、司法書士への報酬や登記に必要な公証料や印紙代が必要です。
建築確認申請費用は、構造や設備が法規に準拠していることを確認するために必要です。
水道負担金は新設水道の費用ですが、地域によっては発生しないケースもあります。
さらに、住宅ローンを取得する際には、手数料や保証料が発生し、これらは金融機関やローンの条件により異なります。
火災保険は家を守る重要な手段で、保険料や補償内容は保険会社やプランによって異なるため、複数社に見積りを依頼しましょう。
最後に、新居への引越し費用は物件の位置や家族の人数、引越しのタイミングによって変動します。複数社の見積もりを比較して引越し会社を選定することで、他社からの見積りを基に値引き交渉ができます。また、不要な荷物は事前に処分し荷物を少なくしておくことで、費用を抑えられるでしょう。
まとめ|注文住宅の契約は全体の流れを把握しておこう
今回の記事では、注文住宅契約の全体の流れを解説しました。注文住宅の契約では、明確な段階を踏むことで夢のマイホーム購入の手続きをスムーズに進めることができます。
まずは、予算を検討し、どのような家を建てたいのかイメージを固め、信頼できるハウスメーカーを選定して、プランの打ち合わせと見積もりを確認します。満足する見積もりが得られたら、工事請負契約を締結し、着工へと進みます。最終的に竣工と引き渡しを迎え、新しい家での生活がスタートです。
契約書を交わす際には、工事と見積もり内容や見積もり金額と内容が合っているかなど、具体的に確認することが重要です。契約する時には、契約内容の変更や追加工事、工事の遅延、ローン特約の付帯状況など、注意点がいくつかあります。
購入に必要な費用としては、本体工事費、附帯工事費、そして諸費用があり、これらを考慮して資金計画を立てることが大切です。
全体の流れと注意点を理解し、計画的に進めることで、注文住宅の購入はより安心感を持って進めることができるでしょう。夢のマイホームの購入で失敗しないためにも、正しい流れを把握しておきましょう!