「ガレージをつくったらいくら固定資産税がかかるの?」「どのように計算するの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、ガレージの固定資産税について
- ●固定資産税の課税条件
- ●固定資産税が発生するガレージの種類
- ●固定資産税の計算方法
- ●ガレージを設ける際の注意点
を体系的に紹介します。
ガレージにかかる固定資産税の概要や注意点を理解するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
固定資産税の課税条件とは
そもそもガレージに固定資産税がかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ガレージに固定資産税が適用されるかどうかを判断するための以下の3つの条件を解説します。
- ●土地への定着性があるか
- ●室内と室外の空気を分断しているか
- ●登記上「建物」となるか
固定資産税の課税条件を把握しておくことで、どのようなガレージが対象となるかを判断できるようになるでしょう。
土地への定着性があるか
土地への定着性は、建築物の課税基準において重要な要素です。
定着性の概念は、建築物がどの程度土地に固定されているかを示します。
例えば、固定された建物は、その土地に「定着している」と見なされ、税金の対象となることがあります。
これに対し、簡易的な物置のように容易に移動可能な構造物は、通常「定着性がない」と判断され、税金の対象外です。
このように、定着性の有無は、物件がどの程度恒久的に土地に結びついているかによって異なり、税金の課税の有無に直接影響を及ぼす重要な要因です。
室内と室外の空気を分断している
建築物が室内と室外の空気を分断しているかどうかは、固定資産税の課税対象を判断する上での重要な基準です。この基準に該当する建物は、三方以上が壁で囲まれ、屋根が設置されていることが条件となります。
例として、コンクリートで固められた基礎の上に建てられたガレージは、これらの条件を満たすため、固定資産税の課税対象となります。
登記上「建物」となるか
不動産登記法において「建物」として認識されるかどうかは、その建築物が建てられた目的によって、利用可能な状態にあるかどうかが判断基準となります。
この基準は、建物が特定の用途として機能するかどうかを判断するために使用されます。
例えば、倉庫や駐車場としての機能を果たしている建築物は、その目的に沿って適切に使用されているとみなされ、用途性が認められる可能性が高いです。
これは、建物がその設計目的に適合しているかどうかを評価する基準となり、登記上の「建物」としての資格を与える重要な要素となります。
このように、建築物が特定の用途に適しているかどうかは、法的な建物の定義に影響を与え、登記の状態に直接関連しています。
すべて満たすと増築でも課税対象になる
先述した3つの要素を満たすことで固定資産税の対象となりますが、これらの要件をすべて満たす場合、増築によるガレージでも対象となります。
具体的には、ガレージが外気から隔てられており、土地に固定され、明確な用途がある場合は税法上で課税の対象になります。
しかし、最終的に課税対象となるかどうかは地方自治体の規則や判断によって異なる可能性があるため、事前に自治体や税理士に確認しておきましょう。
また、建築基準法に基づき、10㎡を超える増築では建築確認申請が必要です。
この申請を怠ると建築基準法違反となり、罰金や懲役刑を含む法的制裁が科される恐れがあります。
ガレージの種類によって固定資産税が発生する?
ここでは、ガレージに固定資産税が課されるかどうかを判断するための重要なポイントを、具体的な例を交えて解説します。
固定資産税が発生するガレージの特徴と、発生しないガレージの特徴をみて、どのようなガレージをつくれば良いかの参考にしてください。
固定資産税が発生するガレージ
固定資産税が発生するガレージには、以下のようなものが挙げられます。
- ●プレハブ小屋
- ●コンテナハウス
- ●ビルトインガレージ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プレハブ小屋
プレハブ小屋をガレージとして利用する際、固定資産税の適用は、その設置方法や構造によって異なります。
一般的には、プレハブ小屋はコンクリートブロックの上に設置され、これだけでは土地への定着性がないと判断されることが多いです。
しかし、ガレージとして使用するために基礎工事を施し、地面に固定する場合は、課税条件を満たし、建物として認識されるため固定資産税が課せられる可能性があります。
一方で、地面に直接固定しない場合でも、電線の敷設など継続的な使用が見込まれる場合、間接的な定着性が認められることもあるため、注意が必要です。
このように、プレハブ小屋の建築方法や使用目的によって税法上の扱いが異なるため、設置前には慎重に検討しましょう。
コンテナハウス
コンテナハウスは建築物として認識され、固定資産税の対象となります。
通常、コンテナハウスには住宅と同じく、固定資産税評価額の1.4%が課税されます。
また、コンテナハウスが建築物として扱われる場合、建築確認申請が必須です。
この手続きを怠ると、法的な罰則の対象になる可能性があるため、コンテナハウスをガレージとして設置する際には、事前に建築確認申請を行うことが重要です。
「知らないうちに固定資産税が発生していた」という状況を避けるため、コンテナハウス設置の計画段階で、信頼できる不動産会社や建築会社に相談すると良いでしょう。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージが組み込まれた住宅では、多くの場合、住宅部分だけではなくガレージ部分にも固定資産税が適用されます。
一般的に、ビルトインガレージを含む住宅は、ガレージが別途の建物として計算されるため、全体の建物面積が増加し、結果として固定資産税額も高くなる傾向にあります。
そのため、ビルトインガレージ付きの住宅を計画する際は、将来の固定資産税を含めた総合的なコストを考慮することが大切です。このような住宅を建てる際には、ハウスメーカーや建築士としっかり打ち合わせをしておきましょう。
専門家に相談すれば、住宅の設計だけではなく、固定資産税の影響を含んだ長期的なランニングコストを考慮したアドバイスを得られます。
その結果、ビルトインガレージを含む住宅の設計は、費用対効果を考慮したより効率的なものになり、将来的な財政的負担を軽減できるでしょう。
固定資産税が発生しないガレージ
固定資産税が発生しないガレージには、以下のようなものが挙げられます。
- ●カーポート
- ●バイクガレージ
- ●駐車スペース
それぞれ詳しく見ていきましょう。
カーポート
カーポートは、壁を持たない屋根と柱のみで構成される駐車スペースで、ガレージとは異なります。
最大の特徴は、建物の要件である「外気分断性」を満たさないため、建物として分類されず固定資産税が課されません。コストを抑えたい場合、特に初期投資とランニングコストの両方でガレージより負担が少ないカーポートが適していることが多いです。
カーポートの選択には複数のメリットがあります。
省スペースでの設置が可能で、撤去費用もガレージに比べて安価です。
また、施工期間が短く、耐久性に優れたアルミ製品が多いため、錆びにくいのも魅力と言えるでしょう。自宅の駐車スペースを設ける際には、これらのメリットを検討し、利用可能なスペースや車の大きさに適した選択をすることが望ましいです。
カーポートはその低コストと実用性で、ガレージに代わる魅力的な選択肢となるでしょう。
バイクガレージ
バイクガレージは、一般的に基礎工事が不要で設置が容易な物置タイプが主流です。
多くの場合、3方向以上の壁と屋根があっても、土地への恒久的な固定がなければ、固定資産税の課税対象にはなりません。
これは、外気分断性の要件を満たしていても、土地への定着性がないためです。
バイクガレージを設置するために必要なスペースは比較的小さく、バイク愛好家にとっては、趣味の車両を保管するための理想的な解決策となるでしょう。
ただし、ガレージと同様に基礎工事を施し、地面に固定する場合は、土地への定着性が認められ、その結果固定資産税が課税されることになります。
住宅の建築や購入を計画している段階で、バイクガレージの設置を考慮しているなら、ハウスメーカーや不動産会社の専門家に相談しておきましょう。
駐車スペース
屋根や壁がない駐車スペースは、固定資産税の観点から見ると、建物とはみなされないことが一般的です。
これは、外気分断性や定着性といった建物の要件を満たしていないためです。その結果、住宅の敷地内であっても、この種の駐車スペースに対して固定資産税が課されることは通常ありません。
それでも、地域によっては異なる規制や基準が適用されることがあるため、駐車スペースの建設を計画する際には、該当する地方自治体の規定を確認することが重要です。
このように、駐車スペースの税法上の扱いは、その構造と地域の規制によって異なるため、注意が必要です。
ガレージの固定資産税はいくら?
ガレージにかかる固定資産税が、どれくらいの金額になるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ガレージの固定資産税を計算する方法を解説します。
まずは、固定資産税の計算基準となる評価額の1.4%について理解する必要があります。
さらに、固定資産税には多くの方が誤解しがちな「5分の1の緩和措置」が適用されるかどうかも理解することが大切です。
この緩和措置は一般的に固定資産税には関係ないため、誤解しないことが重要です。
具体的な計算例を用いて、ガレージにかかる税金がどのように算出されるのかを確認し、予期せぬ税金負担を避けるための知識を身に付けておきましょう。
固定資産税評価額の1.4%
固定資産税の計算においては「課税標準額×固定資産税の税率(1.4%)」という公式が用いられます。
ここでいう課税標準額は、特定の税金が課される際の基準額で、建物の場合はその固定資産税評価額に相当します。
固定資産税評価額とは、市町村が評価した家屋の適正な時価のことを指し、一般的には新築建物の評価額は、建築費の約60%が目安となるでしょう。
建築費には、建材費や労務費、建築会社の利益などが含まれます。この建築費を基に固定資産税評価額が算出され、その上で税率が適用されることになります。
例えば、ガレージを100万円で建築した場合の固定資産税の計算を見てみましょう。
- ●課税標準額:100万円(建築費)×60%(評価額の目安)=60万円
- ●固定資産税額:60万円×1.4%(税率)=8,400円
つまり、100万円でガレージを建築すると、年間約8,400円の固定資産税が掛かることになります。
さらに、都市部でガレージを新築する場合、都市計画税が課されることもあります。
都市計画税は、固定資産税と同様の方法で試算されますが、税率は地域ごとに異なるため、具体的な税額を地方自治体に確認しましょう。
このように、ガレージの固定資産税は、建築費と地域の税率に基づいて計算されます。
5分の1の緩和は固定資産税は関係ない
ビルトインガレージに適用される「延床面積の5分の1を限度として容積率の計算から除外する」という緩和特例があります。
しかし、この特例は建築基準法上の規定に基づくものであり、固定資産税とは直接関係がありません。この特例は、建築時の容積率に対する制限を緩和するもので、建物の設計や規模に影響を与える可能性があります。
一方、固定資産税の計算は地方税法に従って行われます。
そのため、建築基準法においてビルトインガレージの面積が延床面積に算入されない場合でも、これが固定資産税の計算に影響を及ぼすわけではありません。
「ビルトインガレージに固定資産税がかからない」という認識は誤りであり、固定資産税はビルトインガレージの存在に関わらず適用されます。
このような誤解を避けるためにも、ビルトインガレージを計画する際は、建築基準法と地方税法の両方の観点から正確な情報を得ることが重要です。
各法律の適用範囲とその影響を正しく理解することで、将来的な税金の負担や建築許可の条件を適切に把握できます。
ガレージを設ける際の3つの注意点
ガレージを建設する前に、適切な計画と理解が不可欠です。
ここでは、ガレージを設置する際に考慮すべき以下の3つの注意点を説明します。
- ●建ぺい率と容積率を意識する
- ●外装や内装に制限がある可能性がある
- ●登記が必要な可能性がある
これらのポイントを理解することで、ガレージを建設する際の法的要件や制限をクリアし、将来の問題や追加の費用を避けるための基盤を築くことができます。
建ぺい率と容積率を意識する
ガレージの設置を検討する際、建ぺい率と容積率は非常に重要な要素です。
これらは、自治体によって定められた建築規制であり、敷地内で建築できる建物の面積や規模を制限しています。
建ぺい率は、敷地面積に対する建築可能な面積の割合を示し、具体的には「建築面積÷敷地面積×100」の計算式で求められ、各自治体によって異なる上限値が設定されています。
ガレージも含め、敷地内の建物の建築面積は、この建ぺい率に基づいて計画しましょう。
一方、容積率は敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合です。
容積率は「各階床面積の合計÷敷地面積×100」となり、建ぺい率と同様に自治体によって上限が設定されています。これらの数値は建築基準法によって規定されているため、ガレージを設置する前には必ず確認が必要です。
また、ガレージの設置に際しては、建ぺい率や容積率に関する緩和条件が存在することもありますので、これらを活用することで、より柔軟な設計が可能になる場合があります。
したがって、計画の初期段階でこれらの要件を理解し、適切な対応を行うことが重要です。
外装や内装に制限がある可能性がある
ガレージの設置に際しては、建築基準法による内装に関する制限を考慮することが重要です。内装の制限は、火災の際に炎の拡大を防ぎ、有害ガスの発生を最小限に抑えるために設けられた規制です。
そのため、自動車の車庫として使用される建物では、内装材料として防火性能を持つコンクリートやモルタルなどの安全な材質を使用する必要があります。
さらに、防火地域や準防火地域、特定の区域内でのガレージ建築の場合、外装に関しても特定の制限が適用されることがあります。
これらの地域では、建築物の外装材も防火性の高い素材を用いることが求められることがあるため、注意しましょう。
したがって、ガレージを建築する際には、これらの内装・外装に関する制限を事前に確認し、違反を避けるために必要な建築確認申請を行うことが不可欠です。
適切な申請と規制の遵守を通じて、安全かつ法令に準拠したガレージを実現できるでしょう。
登記が必要な可能性がある
ガレージを建築する際、登記の必要性に注意を払うことが重要です。
ガレージが建物として分類される場合、建築後には不動産登記を行う必要があります。
建設後1ヶ月以上登記を怠ると、その建物は「未登記建物」となり、10万円以下の過料を科される可能性があるため、登記手続きは適切に行いましょう。
一方、カーポートのように建物として分類されない構造物の場合は、登記の必要がありません。
カーポートは通常、壁がなく屋根と柱だけで構成されるため、建築基準法上の「建物」に該当しないと見なされることが一般的です。
したがって、ガレージの建築を計画する際には、その法的な分類と登記に関する要件を事前に確認し、必要な手続きを適切に行うことが求められます。
登記の手続きは、将来の法的な問題を避け、所有権の明確化にも寄与するため、ガレージを建設する際に重要なポイントとなります。
まとめ|ガレージの種類によって固定資産税が発生する
今回の記事では、ガレージにかかる固定資産税の概要や注意点を解説しました。
ガレージの固定資産税については、その発生条件と計算方法に注意が必要です。
固定資産税の課税は、ガレージが土地に定着しているか、室内外の空気を分断しているか、登記上「建物」となっているかといった要素に基づいて判断されます。
また、ガレージの種類によって固定資産税が発生するかどうかも異なるため、自分だけでは判断ができない場合は、不動産会社や税理士などの専門家に相談しましょう。
ガレージを設ける際には、建ぺい率や容積率、外装や内装の制限、登記の必要性なども考慮する必要があります。
このように、ガレージの固定資産税は、その種類や条件によって異なり、適切な知識と理解が重要です。
ガレージの計画前に、実際の設置例を見て税負担額を想定することが、固定資産税で後悔しない大切なポイントです。
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