「子育てエコホーム支援事業ってなに?」「補助金はいくら受け取れるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、子育てエコホーム支援事業について
- ●子育てエコホーム支援事業の概要
- ●子育てエコホーム支援事業の対象や適用条件
- ●子育てエコホーム支援事業を利用する際の注意点
を紹介します。
新築やリフォームを検討している方は、賢く補助金を利用するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
子育てエコホーム支援事業とは
「子育てエコホーム支援事業」は、環境に配慮した快適な家庭環境を作ることを目指し、子育て家庭を支援するための補助金制度です。
多くの方々がこの制度の名前は聞いたことがあるものの、補助金を受け取れる条件や適用される期間など、詳細についてはご存じないのではないでしょうか。
ここでは「子育てエコホーム支援事業」の制度の概要と、対象期間に焦点を当て、家族にとって最適な住環境を実現するためにどのように制度を活用できるのかを紹介します。
「子育てエコホーム支援事業」を賢く利用するためにも、制度の概要についてしっかりと理解しておきましょう。
制度の概要
「子育てエコホーム支援事業」は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、住宅の省エネ性能向上を支援する補助金制度です。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにし、地球温暖化の防止をすることです。
新築やリフォームを検討している方々は、一定の条件を満たすことで最大100万円の補助金を受け取ることができるため、ご自身が条件を満たすかどうか確認しておきましょう。
ただし、一般消費者の方は申請することができず、住宅省エネ支援事業者に登録している事業者が申請を行う点には、注意が必要です。
対象者や住宅の条件、補助金額についての詳細は後述しますが、子育て世帯や若者夫婦世帯が対象で、新築では注文住宅や分譲住宅の購入が補助の対象となります。
リフォームに関しては、子どもの有無や年齢に関わらず適用される条件が設けられています。
対象期間
子育てエコホーム支援事業の交付申請の対象期間は、新築・リフォームともに「2024年3月29日~2024年12月31日」です。
交付申請の受付は同年の12月31日までとされていますが、予算が上限に達し次第終了するため、早めに行動しましょう。
また、工事の着工までに工事請負契約書の締結がされていること、遅くとも2024年12月31日までに基礎工事が完了していることも必要なため、注意が必要です。
こどもエコすまい支援事業との違いとは
「子育てエコホーム支援事業」と2023年に実施された「こどもエコすまい支援事業」の主な違いは、以下のとおりです。
- ●対象住宅の種類
- ●建築や購入時、そしてリフォーム時の補助金額
「こどもエコすまい支援事業」では、長期優良住宅、ZEH住宅、及びそれを上回るZEHレベルを満たす住宅が対象とされ、建築や購入時の補助金は一律100万円とされていました。
これに対し、「子育てエコホーム支援事業」では80万円の補助が設定され、リフォーム時の最低補助額が20万円に拡充されています。
この変更は、より高い環境性能を持つ住宅の普及を促す意図があると考えられます。
一方で、どちらの事業も共通して子育て世帯や若者夫婦世帯を主なターゲットとしており、リフォームの際には特定の条件を満たすことが必須です。
また、事業への参加方法は変わらず、登録された事業者を通じて建築・購入、リフォームを行う必要があります。
環境性能の高い住宅に対する関心がある家庭にとって、最新の「子育てエコホーム支援事業」はより魅力的な選択肢となる可能性があります。
また、リフォームを考えている家庭も、より幅広い補助金の範囲に注目することで、事業の利用を検討する上での参考にすることができるでしょう。
子育てエコホーム支援事業の対象と適用の条件
子育て中の家族にとって、快適で環境に優しい住まいは、子どもたちの健やかな成長に欠かせない要素です。
しかし、夢のマイホームを購入するためには、予算の問題が付きまといます。
その中で、国が提供する「子育てエコホーム支援事業」は、環境に配慮しながら子育て家庭の理想とする住まいを実現するための大きな支援となるでしょう。
しかし、利用条件や適用範囲が複雑で理解しにくいという問題があります。
ここでは、注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォームを検討している子育て家庭が、この制度を最大限に活用するための条件を詳しく解説します。
新築やリフォームをする際の家計の負担を減らすためにも、適用条件をしっかりと把握しておきましょう。
注文住宅の新築
子育て世帯または若者夫婦世帯が、長期優良住宅やZEH住宅を新築する際に、エコホーム支援事業者と契約をすることで40~100万円の補助金を受け取ることができます。
対象者や住宅の条件、具体的な補助金額について解説します。
対象者
注文住宅の新築で「子育てエコホーム支援事業」の制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ●2005年4月2日以降に生まれた子を持つ家庭、または夫婦のいずれかが1983年4月2日以降に生まれた家庭のどちらか
- ●2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手する方
ただし、2024年3月31日までに着工をする場合は、この基準日がそれぞれ一年前倒しされます。
補助を受けるためには、エコホーム支援事業者との間で工事請負契約を結び、2023年11月2日以降に基礎工事以降の段階で工事を開始する新築住宅である必要があります。
エコホーム支援事業者とは、補助金の交付申請を代行し、受け取った補助金を建築主に還元する登録済みの住宅事業者のことです。
エコホーム支援事業者は、購入者に代わって補助金の申請を行い、交付された補助金を購入者に還元します。
条件を満たす人は、申請を代行する事業者に申請したい旨を伝えておきましょう。
対象となる住宅
注文住宅の新築では、長期優良住宅もしくはZEH住宅に該当することを証明書等で確認できることと、以下の条件を満たす必要があります。
- ●所有者本人が住むこと
- ●床面積が50~240㎡であること
- ●土砂災害特別警戒区域または災害危険区域に該当しないこと
- ●都市再生特別措置法第88条第5項の規定による勧告に従わなかったことが公表されていないこと
- ●交付申請時に一定基準の工事を完了していること
上記の条件を満たすことで、注文住宅の新築で補助制度を利用することができます。
事前に詳細な条件を確認し、計画的に進めることが重要です。
補助金額
注文住宅の新築では、住宅の種類と立地条件に応じて異なる補助額が設けられています。
- ●長期優良住宅:1住戸あたり最大100万円の補助
- ●ZEH住宅:1住戸あたり最大80万円の補助
しかし、市街化調整区域や特定の災害リスクが高い区域に位置する住宅は、原則として補助額がそれぞれ半分となります。
立地上の制約により既存の住宅を建て替えるケースはこの限りではありませんが、以下の条件を満たす必要があります。
- ●従前の建物と同じ住所で建てること
- ●新築で建築されること
- ●建て替え前後で所有者が変わらないこともしくは解体工事と新築工事の発注者が同一人物であること
また、市街化調整区域内での新築や建て替えを検討する場合は、特定のハザードマップの提出が求められるため、注意が必要です。
最大100万円の補助金を受け取ることができるため、可能な限りで条件を満たせるようにしましょう。
新築分譲住宅の購入
子育て世帯または若者夫婦世帯が、長期優良住宅やZEH住宅を購入する際に、エコホーム支援事業者と契約をすることで40~100万円の補助金を受け取ることができます。
対象者や住宅の条件、具体的な補助金額について解説します。
対象者
新築分譲住宅の購入で「子育てエコホーム支援事業」の制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ●2005年4月2日以降に生まれた子を持つ家庭、または夫婦のいずれかが1983年4月2日以降に生まれた家庭のどちらか
- ●宅地建物取引業の免許を所有している事業者から購入する方
- ●2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手した住宅を購入する方
ただし、2024年3月31日までに着工をする場合は、この基準日がそれぞれ一年前倒しされます。
補助を受けるためには、エコホーム支援事業者との間で不動産売買契約を結び、2023年11月2日以降に基礎工事以降の段階で工事を開始する新築住宅であることが条件です。
注文住宅の新築と同様に、エコホーム支援事業者は、購入者に代わって補助金の申請を行い、交付された補助金を購入者に還元します。
条件を満たす人は、申請を代行する事業者に申請したい旨を伝えておきましょう。
対象となる住宅
新築分譲住宅の購入では、長期優良住宅もしくはZEH住宅に該当することを証明書等で確認できることと、以下の条件を満たす必要があります。
- ●所有者本人が住むこと
- ●床面積が50~240㎡であること
- ●土砂災害特別警戒区域または災害危険区域に該当しないこと
- ●都市再生特別措置法第88条第5項の規定による勧告に従わなかったことが公表されていないこと
- ●売買契約の締結時点で完成していないこともしくは完成から1年以内で誰も住んだことがない住宅であること
- ●交付申請時に一定基準の工事を完了していること
上記の条件を満たすことで、注文住宅の新築で補助制度を利用することができます。
事前に詳細な条件を確認し、計画的に進めましょう。
補助金額
新築分譲住宅の購入では、注文住宅の新築と同様に、住宅の種類と立地条件に応じて異なる補助額が設けられています。
- ●長期優良住宅:1住戸あたり最大100万円の補助
- ●ZEH住宅:1住戸あたり最大80万円の補助
しかし、市街化調整区域や特定の災害リスクが高い区域に位置する住宅は、原則として補助額がそれぞれ半分となります。
立地上の制約により既存の住宅を建て替えるケースはこの限りではありませんが、以下の条件を満たす必要があります。
- ●従前の建物と同じ住所で建てること
- ●新築で建築されること
- ●建て替え前後で所有者が変わらないこともしくは解体工事と新築工事の発注者が同一人物であること
また、市街化調整区域内での新築や建て替えを検討する場合は、特定のハザードマップの提出が求められるため、注意が必要です。
最大100万円の補助金を受け取ることができるため、可能な限りで条件を満たせるようにしましょう。
リフォーム
リフォーム工事をする際に、子育てエコホーム支援事業の補助制度を利用するためには、エコホーム支援事業者と契約して、対象となるリフォーム工事をすることが必要です。
要件を満たすことで、最大60万円の補助金を受け取ることができます。
対象者や住宅の条件、具体的な補助金額について解説します。
対象者
リフォームで「子育てエコホーム支援事業」の制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ●エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結して、リフォーム工事をするすべての世帯
- ●リフォームをする住宅の所有者
リフォーム工事の場合は、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入とは異なり、リフォームをするすべての世帯が対象となるのが特徴です。
ただし、補助を受けるためには、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入と同様に、エコホーム支援事業者が購入者に代わって補助金の申請を行う必要があります。
条件を満たす人は、申請を代行する事業者に申請したい旨を伝えておきましょう。
対象となる工事
リフォーム工事で「子育てエコホーム支援事業」の補助制度を利用するためには、以下の工事のいずれかが必須となります。
- ●開口部の断熱改修工事
- ●外壁・屋根・天井・床の断熱改修工事
- ●エコ住宅設備の設置工事
上記のいずれかと同時に工事をすることで、以下の工事も補助の対象となります。
- ●子育て対応改修工事
- ●防災性向上改修工事
- ●バリアフリー改修工事
- ●空気清浄機能・換気機能付きのエアコン設置工事
- ●リフォーム瑕疵保険等に加入
後半の5つは単体では補助の対象とならない点と、工事代金が合計5万円以上にならないと補助の対象とならない点には、注意しましょう。
また、以下の工事は子育てエコホーム支援事業の補助対象外となります。
- ●ガラス交換のみの工事
- ●住宅以外の部分の工事(店舗部分など)
- ●施主から支給された材料を使用した工事
- ●外皮以外の部分への工事
- ●屋外設備の設置工事
- ●太陽光発電設備やエネファームの設置工事
- ●リース設備の設置工事
- ●中古品を使用した工事
この補助金制度は、より快適でエネルギー効率の高い住環境を促進することを目的としています。
補助金額
リフォーム工事では、原則1住戸あたり最大20万円の補助金を受け取ることができます。
しかし、子育て世帯や若者夫婦世帯、既存住宅購入や長期優良住宅の認定を受ける場合は最大60万円まで引き上げられます。
工事の内容ごとに細かく基準が決められているため、リフォーム工事をする際に「子育てエコホーム支援事業」の補助金を検討する際には、事前に確認しておきましょう。
また、同じ家でリフォーム工事を複数回行う場合には、補助の上限額までであれば申請をすることができます。
子育てエコホーム支援事業を利用する際の注意点
国の「子育てエコホーム支援事業」は非常に魅力的な選択肢です。
しかし、この制度を最大限に活用しようと考えたとき、以下の3つの注意点を考慮する必要があります。
- ●予算が達する前に利用する
- ●他の制度と併用できないことがある
- ●補助金額が半額になることがある
- ●補助額全額を受け取ることはできない
ここでは、これらの注意点を具体的に解説し、これらの課題への対処法、賢い制度の利用方法を紹介します。
計画的に制度を利用することで、予算内で、また可能な限り多くの支援を受けながら、環境に配慮した理想の家づくりができるでしょう。
予算が達する前に利用する
補助金制度を最大限利用するためのカギは、予算枠が埋まる前に申請手続きを完了させることにあります。
「子育てエコホーム支援事業」は、予算上限に達した時点で申請期限内であっても受付が終了する可能性があるためです。
2023年実施のこどもエコすまい支援事業のケースを見ても、申請期限前に予算の上限が達してしまう事態が発生しています。
これは、予算上限に近づくにつれ、多くの方が「補助金制度を利用できないかもしれない」という焦りから、急いで申請を行うことが理由として考えられます。
早めに行動し、補助金を確実に受け取るチャンスを逃さないことが大切です。
先述した条件を満たす人は、申請を代行する事業者に申請したい旨伝えておきましょう。
他の制度と併用できないことがある
補助金を活用する際には、他の補助金制度との併用が可能かどうかを前もって確認することが重要です。
国や県、市町村といった異なる行政レベルで提供されている住宅関連の補助金制度の中には、同時に利用できるものとそうでないものが存在します。
特に、新築やリフォームにおいて複数の補助を申請しようと考えている場合、それぞれの補助金が併用可能かどうかを把握することが、計画の成功につながるでしょう。
併用が認められないケースにも関わらず、申請を進めてしまうと、後になって補助金が受け取れないという事態にも陥りかねません。
そのため、具体的な申請を行う前に、関連する補助金の事務局や窓口に直接問い合わせ、詳細を確認することが大切です。
補助金額が半額になることがある
補助金制度を利用する際、一定の条件によっては補助金額が半額に減額される場合があります。
先述したとおり、住宅が市街化調整区域や土砂災害警戒区域、または浸水想定区域に位置していると、補助金の額が大きく変わります。
長期優良住宅の場合、補助金は通常の金額から50万円に、ZEH住宅では40万円に減少します。
後から補助金の減額を知り、計画を変更することは難しいため、土地購入の段階で該当する区域に入っていないかをしっかりと確認することが極めて重要です。
この確認作業を怠ると、想定外の費用負担を背負うことになりかねません。
補助額全額を受け取ることはできない
補助金を申請しても、実際には補助金の全額受取は難しいケースが一般的です。
なぜなら、補助金を受けるために必要な各種認定の取得費用が存在するからです。
特に、長期優良住宅の認定取得や子育てエコホーム支援事業など、特定の条件を満たす住宅に関する補助金の申請では、事業者へ申請費用の支払いをする必要があります。
そのため、補助金を活用する際には、単に補助金の額だけを見るのではなく、認定取得に必要な費用や申請費用を含めたトータルでのコストとメリットを検討することが重要です。
これにより、実際に手元に残る補助金の額をより正確に把握し、賢明な判断を下すことができるでしょう。
まとめ|新築やリフォームを検討しているなら補助金を賢く利用しよう!
子育てエコホーム支援事業は、新築やリフォームを考える家庭へ向けた補助金制度です。
対象となるのは、環境に優しく子育てしやすい家づくりを目指す注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォーム工事です。
制度の利用にあたっては、対象期間内に申請し、特定の条件を満たす必要があります。
ただし、予算には限りがあり、上限に達した時点で補助を受けられなくなるため、早めの行動がおすすめです。
また、他制度との併用可否や補助金額の変動も考慮しておくことが大切です。
賢く制度を利用して、環境に優しく子育てしやすい住まいづくりを実現しましょう。