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住宅購入で親からの支援を受ける際の注意点!活用すべき特例も紹介

お金

「住宅を購入する時に親からの支援を受けたらどうなるの?」「どのような特例があるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、

  • ●親からの支援額の全国平均
  • ●親からの支援を受けて住宅を購入する際に活用すべき特例
  • ●親からの支援を受けて住宅を購入する際の注意点

を紹介します。
特例の要件を満たすことで、最大2,500万円が非課税となります。
住宅購入で親からの支援を受ける際の注意点を把握しておくことで、制度を有効活用できるようになるでしょう。

住宅を購入する際の親からの支援額の平均とは

住宅を購入する際に、自己資金や住宅ローンだけではなく、親からの支援を検討している人も多いのではないでしょうか。
「一般社団法人 不動産流通経営協会」の調べによると、2023年度に住宅を購入する際に親からの援助を受けた世帯の割合は、住宅を購入した人全体の12.5%です。
つまり、8世帯のうち1世帯は支援を受けていることになります。
また、支援額が1,000万円を超える人が、全体の36.1%を占めるという結果も出ています。
これらの結果から、親からの支援を受ける人の割合は少ないものの、支援を受けている人は大きな金額を支援してもらっていることがわかるでしょう。
全体の支援額の平均は、以下のとおりです。

  2022年 2023年 増減
新築住宅の購入 998.2万円 915.8万円 ▲82.4万円
既存住宅の購入 662.2万円 734.4万円 72.2万円

全額を自己資金と住宅ローンでまかなうのと親からの支援を受けるのとでは、月々のローンの返済額の負担は大きく異なります。
そのため、支援が受けられるに越したことはないでしょう。
一度親に相談してみることで、親も市場の実態を知ることができ、前向きに支援を検討してくれるかもしれません。

親からの支援を受けて住宅を購入する際に活用すべき特例とは

親からの支援を受けて住宅を購入する際に、実際にどのような特例を活用すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、活用すべき特例について、それぞれの概要や要件、必要な手続きなどを解説します。
特例ごとに特徴も異なるため、それぞれの特徴を知ることで、特例を活用した時のイメージを持てるようになるでしょう。

住宅取得資金贈与の非課税の特例

住宅取得資金贈与の非課税の特例は、名前のとおり住宅取得に特化した特例であり、住宅取得の後押しをしてくれる内容となっています。
もともと特例の適用期限は2023年末までとなっていましたが、令和6年度の税制改正で、適用期限が3年間延長されました。
特例の内容自体も、時代に合わせて変化しています。
今後も、情勢や制度の課題点を考慮しながら内容は変わる可能性があります。
しかし、2026年末までの延長しか決まっていないため、今後も続くとは限りません。
いつか特例を使おうと思って先延ばしにしている間に、特例自体が終了する可能性もあるため、早めに特例を利用することを検討しましょう。

制度の概要

住宅取得資金贈与の非課税の特例は、以下のようなケースで両親や祖父母などから支援を受ける場合に、一定の金額への贈与税が発生しないという制度です。

  • ●自身が住む住宅を新しく建築する
  • ●自身が住む住宅を新しく購入する
  • ●自身が住む住宅を増改築する

住宅の質によって異なりますが、質の高い住宅と認められると1,000万円、一般の住宅でも500万円までは贈与税が非課税となります。
制度自体は、2024年1月1日から2026年12月31日までの間に、支援を受けた分の金額に適用されることになっています。

要件

住宅取得資金贈与の非課税の特例を受けるための要件は、支援を受ける方に対するものと、家屋に対するものがあります。
主な要件は、以下のとおりです。

  • ●贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上である
  • ●支援を受ける年の、支援を受ける者の総所得金額が2,000万円以下である
  • ●床面積が50㎡以上、もしくは240㎡以下である
    (ただし、支援を受ける者の総所得金額が1,000万円に到達していない場合には、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅でも適用可能)
  • ●支援を受けた年の翌年3月15日までに、新築・取得・増改築した家に住んでいる

住宅を新しく建築・購入する、もしくは増改築する、それぞれのパターンによって詳細の要件は異なります。
そのため、ご自身の家に必要な要件は何かをしっかりと確認しておきましょう。

質の高い住宅とは

先述したとおり、住宅の質によって贈与税が非課税となる金額は変わります。
そのため、要件を満たす住宅になっているかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
「質の高い住宅」の主な要件は、以下のとおりです。

  • ●新築の住宅の場合は、断熱等性能等級5以上、且つ一次エネルギー消費量等級6以上
  • ●既存の住宅・増改築の場合は、断熱等性能等級4以上、もしくは一次エネルギー消費量等級4以上

要件は複数あるものの、全てを満たす必要はなく、いずれかの基準に該当すれば問題ありません。
また、要件を満たしているかどうかを証明するために必要な書類は、以下のとおりです。

  • ●住宅性能証明書
  • ●既存住宅に関連する建設住宅性能評価書の写し

書類も全て揃える必要はなく、いずれかの書類を用意すれば問題ありません。
しかし、一定の条件のもとでは複数の書類を用意しなければならない場合もあるため、揃える内容に誤りがないように確認しておきましょう。

必要な手続き

特例を受けるためには、贈与税の申告書を提出する期間に合わせて、申告書と必要な添付書類を提出しなければなりません。
添付書類の例を挙げると、支援を受ける者の戸籍謄本や、請負契約書や売買契約書の写しなどになります。
提出期限が定められており、期限を過ぎてしまうと、特例が受けられなくなってしまうため、スケジュール管理を徹底しておきましょう。

相続時精算課税制度

令和5年度の税制改正により、相続時精算課税制度のいくつかの部分に変更点が加えられました。
主な改正内容としては、基礎控除額の110万円を控除できるようになったことです。
簡単に言うと、支援を受けても非課税となる金額が110万円分増えたということです。
それでは、具体的な制度内容を解説します。

制度の概要

相続時精算課税制度は、原則60歳以上の両親や祖父母などから財産の贈与を受ける場合に、18歳以上の子どもまたは孫が選択できる制度のうちの一つです。
相続時精算課税制度を利用するかどうかは、支援してくれる相手ごとに決められます。
例えば、母親からもらう財産には相続時精算課税制度を選択し、父親からもらう財産には暦年課税の選択をすることができます。
ただし、注意しなければならないのは、制度を選択したあとの変更ができず、翌年以降にも選択した制度が適用される点です。
支援を受けた財産に対して、相続時精算課税制度を適用すると、贈与税額を求める計算式は以下のようになります。

▶((支援を受けた金額-基礎控除額110万円)-特別控除額2,500万円)×20%

もし、母親から3,500万円の支援を受けたとすると、贈与税額は「((3,500万円-110万円)-2,500万円)×20%=178万円」になります。
2,610万円を下回る金額で支援を受ける場合には、基礎控除額と特別控除額によって、贈与税が発生しません。
支援をする方が亡くなった場合の、相続税額を算出する時の流れは以下のとおりです。

  • 1.生前に相続時精算課税制度を利用して支援してもらった金額と、相続として取得した金額を合計する
  • 2.合計金額にかかる相続税額を算出する
  • 3.算出した相続税額から、相続時精算課税制度に対して支払った贈与税額を差し引く
  • 4.最終的な相続税額を算出する

つまり、生前に3,500万円の支援を受け、母親が亡くなった際に追加で1,500万円の遺産を相続した場合、相続税はそれぞれの合計金額である5,000万円に対して発生します。
そして、算出された相続税から、贈与税で既に支払っている178万円を引いた金額を、最終的な相続税額として支払うことになります。
もし「贈与税額>相続税額」となる場合には、多く払った分は還付されますが、詳細を知りたい方は税理士などの専門家に相談しましょう。

要件

相続時精算課税制度で定められている要件は、以下のとおりです。

  • ●支援をする者は、支援をする年の1月1日時点で60歳以上の両親もしくは祖父母
  • ●支援を受ける者は、支援をする者の子どもや孫などの直系尊属であり、且つ支援を受ける年の1月1日時点で18歳以上である
  • ●支援をする際の財産の種類や金額、支援の回数に制限なし

「支援をする際の財産の種類や金額、支援の回数に制限なし」を上手く活用すれば、贈与税が発生しなくなる可能性があります。
先述したとおり、2,610万円を下回る金額で支援をすれば贈与税は発生しません。
制度を上手く活用して、可能な限りご自身の負担を減らすことを検討してみましょう。

必要な手続き

相続時精算課税制度を利用して支援を受けた方は、決められた期間内に税金を納める所轄税務署長へ「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
ただし、支援金額が年間で110万円を下回る場合には、申請は必要ありません。
申請時には、支援を受ける方が、支援をする方の子どもや孫であることを証明するための戸籍謄本や、抄本その他の書類が必要となります。

暦年課税制度

暦年課税制度は、贈与と聞いた時に多くの人がイメージする制度ではないでしょうか。
110万円までなら贈与税がかからないことは聞いたことがあるものの、制度の内容を詳しくは知らない方も多いでしょう。
先述した、相続時精算課税制度と暦年課税制度は選択制になっているため、ご自身にとって最適な選択ができるように、各制度の理解を深めておくことが大切です。

制度の概要

通年で支援を受ける金額が110万円以下なら、贈与税がかからない仕組みになっているのが暦年課税制度です。
暦年課税制度は、財産の以下の2種類によって計算方法が異なります。

  • ●特例贈与財産:支援を受ける年の1月1日時点で18歳以上であり、直系尊属である子どもや孫に、両親や祖父母などが贈与する財産
  • ●一般贈与財産:特例贈与財産以外の財産

特例贈与財産と一般贈与財産それぞれの対象者が、同じ金額の援助を受けたとすると、贈与税額にどのくらいの差が出るのか計算してみましょう。
計算式は、以下のとおりです。

▶(支援を受けた金額-基礎控除額110万円)×税率-控除額

支援を受ける金額が2,000万円だった場合の、それぞれの贈与税額は以下のとおりです。

  • ●特例贈与財産用の税率は45%/控除額は265万円:贈与税額は585.5万円
  • ●一般贈与財産用の税率は50%/控除額は250万円:贈与税額は695万円

同じ2,000万円の支援を受けても、贈与税額は109.5万円もの差が出ます。

要件

暦年課税制度には、特に要件が設けられていません。
先述したとおり、暦年課税制度と相続時精算課税制度は選択性になっているため、それぞれの制度の違いを押さえておくと良いでしょう。
相続時精算課税制度は、支援を受ける方とする方の両方に要件が設けられていますが、暦年課税制度はどちらも特に指定はありません。
支援の回数に関しても、相続時精算課税制度と同様に制限がありません。

必要な手続き

暦年課税制度を利用するためには、通年で支援を受けた金額が110万円を超える場合に申請が必要となります。
支援を受けた年の、定められている期間内で申請対応が必要です。
また、申請は支援を受けた方が対応しなければなりません。
暦年課税のみ申告をする者は申告書の「第一表」に必要事項を記入する必要があります。
特例贈与財産として支援を受ける場合には、申告書の他に、支援をする方の子どもや孫であることを証明するための戸籍謄本や、抄本その他の書類も必要となります。

親からの支援を受けて住宅を購入する際の注意点

親からの支援を受けて住宅を購入する際に活用すべき特例を3つ紹介したため、親に相談してみようと考えている人もいるかもしれません。
しかし、注意点を押さえておかないと、せっかく親から了承を得られても、特例が活用できなくなる可能性があります。
ここでは、親からの支援を受けて住宅を購入する際の注意点を5つ紹介します。
注意点に気を付ければ、支援を受けることになった際も慌てることなく、スムーズに家づくりが進められるでしょう。

小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性がある

小規模宅地等の特例は、土地の評価額を大幅に下げるのに役立つ制度です。
定められた要件を満たせば、被相続人が住むために利用されていた宅地や事業用の宅地などは、最大80%まで評価額を減額できます。
例えば、5,000万円の土地の場合は、80%減額されることで評価額が1,000万円になるため、相続税の節税にも大きくつながるでしょう。
しかし、相続時精算課税制度を利用して土地の贈与を受けてしまうと、小規模宅地等の特例は利用できません。
その理由は、小規模宅地等の適用条件の中に「小規模宅地等の特例が適用されるのは、相続もしくは遺贈により取得した財産に限る」といった内容が定められているからです。
そのため、相続時精算課税制度を利用して「贈与」を受けた土地は、小規模宅地等の特例の適用条件から外れてしまいます。
小規模宅地等の特例を利用した方が、相続税の節税効果が大きくなると考えられるのは、評価額の高い土地を相続する場合です。
「評価額が高い=相続税額が高い」ということになりますが、小規模宅地等の特例を利用すれば評価額も相続税額も下げることが可能です。
贈与によってその土地を取得した場合、評価額が高いままになってしまい、高い相続税を納めなければならなくなるかもしれません。
活用する特例を決めた後に後悔しないように、いくつかのパターンを想定し、税理士などの専門家に相談しながら相続税額のシミュレーションをすると良いでしょう。

不動産取得税などの税金がかかる

不動産取得税とは、建物や土地を購入したり、贈与を受けたりして不動産を取得した際に、取得した者に対して課される税金のことです。
つまり、相続時精算課税制度により取得した不動産にも税金がかかります。
不動産取得税を求める計算式は、以下のとおりです。

▶取得した不動産の価格(課税標準額)×0.03

取得した不動産の価格は、基本的には固定資産課税台帳に登録されている価格を指します。
不動産の建築にかかった費用や、購入した費用ではない点に注意しましょう。
一方で、相続や遺贈により取得した不動産には、不動産取得税はかかりません。

遺産分割で揉める可能性がある

相続の際には、遺産分割で揉める可能性があることも頭に入れておきましょう。
もし、兄弟や姉妹がいる場合、特定の誰かだけが生前に両親や祖父母から多くの贈与を受けていると、不満の声が上がる可能性があります。
あまりにも相続される財産のバランスが悪いと、取り分の少ない相続人の兄弟姉妹や配偶者などは、遺留分を主張するでしょう。
民法では、残された遺族の生活の安定や最低限度の平等性を確保するために、最低限の権利を保障しており、これが遺留分に該当します。
遺留分の主張がされた際には、金銭で支払わなければなりません。
特例を使って親からの支援を受けて自宅を購入できても、遺産分割でのトラブルにより、後々金銭での支払いが発生しては本末転倒です。
贈与を受ける段階から、贈与の内容に問題がないか、トラブルに発展する可能性はないのかどうかを考慮して話を進めるようにしましょう。

相続時精算課税制度を併用する際に注意が必要

相続時精算課税制度を併用する際には、注意が必要です。
先述したとおり、支援をしてくれる相手に対して、相続時精算課税制度を利用すると決めると、二度とその相手からの贈与には暦年課税制度を使えなくなります。
変更が効かないため、最初の選択を慎重に実施する必要があります。
相続が発生するタイミングでは贈与を受けた財産も含めて相続税が算出されるため、注意しましょう。
贈与を受けた段階では、相続税が免除されたわけではなく、あくまでも相続税を支払うタイミングが先延ばしになっているだけとも捉えられます。
また、小規模宅地等の特例の適用条件を踏まえると、小規模宅地等の特例との併用ができないことにも注意が必要です。
相続時精算課税制度は、特別控除額が2,500万円となるため、インパクトの大きい制度です。
しかし、目先の控除額の大きさにつられ、長い目で見た時に損をすることがないように、制度をしっかりと理解する必要があります。

贈与税の申告をする

贈与税が発生した場合には、基本的には決められた期限内に申告をし、税金を納めなければなりません。
申告が遅れてしまったり、実際に支援を受けた金額よりも少なく申告したりすると、もともとの税金に加えて「加算税」が発生します。
また、税金を納めるタイミングが遅くなってしまうと「延滞税」が発生します。
加算税の相場は、新しく納める税金の10%、場合によっては15%程度です。
しかし、意図して申告を少なくしてしまったというわけではなく、計算方法を間違ってしまったといった自然的な誤りで、申告内容にミスが発生することもあるでしょう。
このような場合には、税務署から指摘を受ける前に、速やかに修正の申告をすることが大切です。
指摘を受ける前であれば、加算税は発生しません。
延滞税は、税金を納める期限の翌日から2カ月経過しない内に納めれば、基本的には年7.3%、2カ月経過してしまうと年14.6%になります。
延滞期限が長くなればなるほど、税率も上がるため、遅れることなく納税しましょう。

まとめ|住宅を購入する際は親からの支援で負担を軽減しよう

特例と一括りに言っても、恩恵を受けられる金額も異なれば、要件も異なります。
特例は、控除額が大きければ良いというものではなく、それぞれの特例ごとにメリットやデメリットがあります。
それぞれのメリット、デメリットを踏まえた上で、さまざまな選択肢を検討することが大切です。
人生で何回もあることではないからこそ、親からの支援を無駄にせず、また、特例を活用して負担が軽減できる最適な選択をしましょう。
話し合いを進める上で何か迷うことがあれば、税理士や不動産会社の担当者など、プロのアドバイスももらいながら動くことをおすすめします。

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一度にいろいろなモデルホームを見比べたり、体感できるから、
理想の住まいがきっと見つかります。