
注文住宅を建てる際、自宅に駐車場をつくりたいと考えている方の中には、住居と駐車スペースが一緒になったビルトインガレージに魅力を感じている方もいるのではないでしょうか。ビルトインガレージには、独立の駐車スペースやカーポートにはない多くのメリットがあるものの、デメリットも存在するため、建てる際には注意が必要です。
本記事ではビルトインガレージについて、必要な広さや費用相場、メリット・デメリット、建てる場合の注意点を解説します。自宅にビルトインガレージを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビルトインガレージとは

ビルトインガレージの「ビルトイン(built-in)」には「組み込み」の意味があり、名前のとおり駐車スペースが建物の一部に組み込まれているガレージです。建物と駐車場が天井や壁・柱などによって住居部分とつながっており、入り口にはシャッターやドアなどが設けられています。
建物の内部にあるため、別名「インナーガレージ」とも呼ばれており、比較的狭い土地の多い日本では人気がある形式のガレージです。
ビルトインガレージに必要な広さ
ビルトインガレージに必要とされるスペースの広さは、一般的に自動車1台につき4〜5坪程度です。2台分であれば2倍もしくは倍以上の広さが必要になります。駐車場の広さに関しては、国土交通省の設計・施工指針があり、車のサイズによる長さと幅員の目安は以下のとおりです。
車種 | 長さ | 幅員 |
---|---|---|
軽自動車 | 3.6m | 2.0m |
小型自動車 | 5.0m | 2.3m |
普通自動車 | 6.0m | 2.5m |
車椅子を利用する場合 | 幅3.5m以上 |
通常、駐車場は出し入れしやすいよう目安よりも少し余裕を持たせて設計され、普通車のサイズだと長さ6m×幅3m(4〜5坪)程度の広さが必要とされます。
ビルトインガレージの費用相場

ビルトインガレージの一般的な費用相場は、坪単価50万〜80万円程度です。車1台分の駐車場で4〜5坪程度の広さのガレージを設置する場合の金額は200万〜400万円程度で、2台分だと倍の金額がかかります。
費用相場はあくまでも目安であり、大型車を所有している場合は普通車と比べて駐車スペースも広く、より多くの金額が必要です。必要な広さ・予算は車種や用途によって異なるため、施工業者と相談しながら決めることをおすすめします。
ビルトインガレージのメリット

自宅にビルトインガレージを設ける主なメリットは、以下のとおりです。
- ●雨風や紫外線などから守れる
- ●いたずら防止・防犯に役立つ
- ●室内と駐車スペースの動線がコンパクトになる
- ●多目的に使用できる
ビルトインガレージが持つさまざまな利点を、以下でみていきましょう。
雨風や紫外線などから守れる
1つ目は、雨風や紫外線から車を守れる点です。屋外駐車スペースの場合、車が日々雨風や紫外線・花粉・PM2.5・風による飛来物などに晒されるため、汚れたり傷みやすくなったりします。
カーポートなどを設置する方法もあるものの、屋根だけでは完全に車を保護するのは難しいですが、ビルトインガレージがあれば、確実に車を守ることができ、悪天候時も安心です。
いたずら防止・防犯に役立つ
2つ目は、いたずら防止・防犯に役立つ点です。ビルトインガレージでは、駐車スペースが住居と一体になっているため外部から入りにくく、シャッターを閉めてしまえば勝手に誰かが侵入していたずらなどの被害を受ける心配がなくなります。
また、ガレージのシャッターが閉まっていると、外から見た場合に車の有無がわからず在宅かどうかを判断しにくくなるため、住宅への空き巣リスクが軽減するのもメリットです。
室内と駐車スペースの動線がコンパクトになる
3つ目は、室内から駐車スペースへの動線がコンパクトになる点です。ビルトインガレージでは住居部分と駐車場が一体化しており、ガレージ部分と室内をつなぐ動線をつくれば、車の乗り降りや荷物の搬入出が楽になります。
また、駐車場と屋根で結ばれているため、雨の日も濡れる心配がありません。子どもや高齢者と同居している家庭にもおすすめです。
多目的に使用できる
4つ目は、駐車場を多目的に利用できる点です。ビルトインガレージは、単に車の駐車スペースとしてだけでなく、BBQや子どもの遊び場などにも使用できます。
雨の日に子どもたちを遊ばせたり、トレーニングや趣味の空間として利用したり、さまざまな目的で便利に使えます。駐車以外の用途でも活用したい場合は、あらかじめ広さに余裕を持たせた設計にすると良いでしょう。
ビルトインガレージのデメリット

ビルトインガレージの主なデメリットは、以下のとおりです。
- ●建築コストが高額になりがち
- ●騒音・排気ガスの影響を受けやすい
- ●1階の居住スペースが減る
- ●固定資産税がかかる
さまざまなメリットのあるビルトインガレージですが、設置の際にはデメリットにも注意しましょう。
建築コストが高額になりがち
1つ目は、建築コストが高額になりやすい点です。ビルトインガレージは本来壁や柱のある場所が空間になるため、耐震性の懸念から木造だと建てるのが難しくなります。耐震性を確保するため鉄骨造やRC造など、木造建築よりも単価の高い構造で建てるケースが多く、建築費も高額になるでしょう。
騒音・排気ガスの影響を受けやすい
2つ目は、騒音や排気ガスの影響が大きくなる点です。ビルトインガレージは住居と直結したつくりになっているため、車のエンジン音やシャッターの開閉音が響きやすくなります。時間帯によっては、室内だけでなく近隣に迷惑がかかる恐れもあるでしょう。
また、換気設備が十分でないと、排気ガスがガレージ内に充満しやすいのもデメリットです。ビルトインガレージを設置する際は、騒音や振動・換気それぞれの対策をしっかりと考えましょう。
1階の居住スペースが減る
3つ目は、1階の居住スペースが狭くなってしまう点です。ビルトインガレージは、本来であれば住居の一部となる部分に駐車スペースを設ける関係上、1階の居住面積が少なくなるため、リビングなどの主な居住スペースを2階にする必要があります。1階の住居空間が減るのに加え、間取りの自由度も制限されやすいです。
固定資産税がかかる
4つ目は、固定資産税がかかる点です。ガレージも建物の一部として扱われるため、原則固定資産税の課税対象となります。ビルトインガレージには、一定の要件を満たせば容積率の制限を緩和できる利点もあるものの、固定資産税はかかるのでガレージの広さを決める際は注意が必要です。
ビルトインガレージを建てるときの注意点

ビルトインガレージを建てる際には以下の点に注意しましょう。
- ●ライフスタイルの変化を考慮して広さ・設備を決める
- ●騒音・排気ガス対策を行う
- ●耐震性を考慮する
- ●実績豊富な施工業者に依頼する
以下では、ビルトインガレージを設置する際に気をつけるポイントを解説します。
ライフスタイルの変化を考慮して広さ・設備を決める
ビルトインガレージを設ける際は、今後のライフスタイルの変化を考えて広さ・設備を決定しましょう。将来、家族構成やライフスタイルが変われば、車を買い替えたり台数を増やしたりするかもしれません。ガレージの広さに余裕がないと、車種によっては入らない可能性があります。
はじめにある程度余裕を持って広さを確保し、用途に合わせて設備を整えるのがおすすめです。
騒音・排気ガス対策を行う
ビルトインガレージでは、内部で発生する騒音や振動・排気ガスのニオイなどがトラブルの原因になるケースが多いため、しっかりと対策を考えておくことが重要です。シャッターは電動式で音が出にくいものを採用したり、ガレージの壁には吸音材を入れたりと、騒音・排気ガス対策を考慮した設備を導入すると良いでしょう。
また、寝室や書斎など音・ニオイの影響を受けたくない部屋は、ガレージと離れた場所に配置することも大切です。
耐震性を考慮する
ビルトインガレージを建てる際は、耐震性を考慮して設計しましょう。ガレージ部分は車の入出庫がある関係から間口を広く確保する必要があるため、壁になる部分が減ってしまい耐震強度にも影響が出ます。耐震性を考慮するのであれば、建物の構造は鉄骨造やRC造が無難です。ほかにも、縦列駐車など駐車タイプを工夫して間口を狭くする方法もあります。
実績豊富な施工業者に依頼する
ビルトインガレージを建てる際は、実績が豊富な施工業者を選択することが大切です。ビルトインガレージは、ガレージと室内の動線や建物の構造・設計など配慮すべきポイントが多く、家族に合った家を建てるには、高い技術とノウハウを持った施工が求められます。
ビルトインガレージの住宅を建てる場合は実績を考慮しつつ、ガレージだけでなく住宅も含めて最適なプランニングを提示してもらえる業者に依頼しましょう。
ビルトインガレージで後悔しない暮らしを実現しよう

建物と駐車スペースが一体になっているビルトインガレージには、さまざまなメリットがある一方でデメリットも存在します。ビルトインガレージ付きの住宅を建てる際には必要な設計・設備を十分検討したうえで、経験豊富な施工業者に依頼しましょう。
後悔しない家づくりを行うためには、住宅展示場やモデルハウスに足を運び、実際の建物や設備などを見学しながら決めていくことをおすすめします。ABCハウジングでは、関東・近畿エリアに多数の住宅展示場を展開しており、多彩な住宅メーカーのモデルハウスを一度に見学・比較できます。ビルトインガレージ付きの注文住宅を検討されている方も、ぜひお近くの展示場にご来場ください。