住まいの購入を検討している人で、戸建てとマンションどちらにするか、悩む人は多いです。それぞれにメリット、デメリットがあるので、自分が重視する点は何かを考えて決めていく必要があります。今回は戸建てとマンションの比較を、お金の面からとそれ以外の面から行います。また、両者の価格の推移も見ていきます。
最新 戸建てとマンション価格の推移
「東京オリンピックが終わると不動産価格が下がる」と言われたこともありました。また新型コロナウイルス感染拡大が、不動産価格にどう影響しているのか気になる人も多いのではないかと思います。そこで国土交通省から発表されている「不動産価格指数」の推移を見ることにします(図表1)。
住宅地(オレンジ)や戸建て(青)と比べて、マンション(中古マンション:緑)の上昇が目立ちます。マンションに比べると、土地や戸建ての価格の上昇幅は小さいと言えますが、新型コロナウイルス感染拡大の後、少し上昇傾向が見られます。新型コロナウイルス感染拡大後に各指数が上昇したのは、コロナ対策として金融緩和が行われたことも原因の1つであると考えられます。
戸建てとマンションをお金で比較!住宅ローンや管理費・修繕積立金等はどう違う?
ここからは、戸建てとマンションを購入する場合の、お金面での違いについてまとめます。主な違いは図表2にまとめたとおりです。
ここで「土地を購入して注文住宅を新築する」場合と「新築マンションを購入する」場合とを比べ、35年間で、どれくらいお金面の差が出るかを検証します(図表3)。新築マンションの価格は4,000万円、注文住宅では土地を1,500万円で購入し、2,500万円の注文住宅を建てる(合計4,000万円)としています。
まず購入時の諸費用は「土地購入+注文住宅」の方が高くなるのが一般的です。土地購入時の仲介手数料やつなぎ融資(土地購入時に使う住宅ローンとは別の融資)の利息や手数料が必要になるなどの理由です。
住宅ローンについては、フラット35を使う前提で住宅ローン総返済額を計算しています。「土地購入+注文住宅」ではフラット35Sの金利引下げが10年、「新築マンション」では5年になると仮定したため、総返済額で少し差が出ています。ローン金額は3,500万円、35年返済で、引下げ前の金利を1.30%(2022年1月のフラット35、融資率9割以下の場合の最低金利)としています。
固定資産税や都市計画税は、同じ金額の戸建てとマンションなら一般的にはマンションの方が高くなります。木造の戸建てよりも、鉄筋コンクリート造りのマンションの方が建物の評価額が下がりにくい(法定耐用年数が長い)ことなどが影響しているためです。図表3の例でもマンションの方が高くなっています。火災保険や地震保険については、面積等にもよりますが、マンションの方が安くなるのが一般的です。
住宅購入後、マンションでは管理費、修繕積立金、駐車場代が必要になります。戸建てでは管理費や修繕積立金は発生せず、駐車場代も一般的には不要です。ただし戸建てでも、将来のリフォームに備えて、少しずつお金を貯めていく必要がある(自分自身で修繕積立をしていく必要がある)という点は注意したいところです。図表3の例で使った、修繕積立金などの数値は図表4のとおりです。
同じ金額の「土地購入+注文住宅」と「新築マンション」を比較すると、総支払額には差が出る、(マンションの方が高くなることが多い)ことを例を基に考えてみました。
戸建てとマンションのメリット、デメリットを比較〜自分に合う住まいの選び方
最後に、戸建てとマンションをお金の面以外でも比較します。それぞれの主な特徴をまとめると図表5のようになります。
それぞれにメリット、デメリットがあり、たとえば、駅からの近さを重視するのであればマンションですが、住まいの広さなら戸建ての方に分があります。結局、住まい選びで自分たちは何を重視するのかが大切になります。
何を重視するか考える上では、理想の住まいを紙の上に書き出してみるのも1つの方法です。同時に「こういう住まいはイヤだ」というのも書き出してみるとよいでしょう。夫婦それぞれで理想とする住まい、イヤな点は違うはずなので、書き出したものを基に相手の考えを踏まえた上で希望を整理していく必要があると思います。
今回は戸建てとマンションについて、不動産価格指数の推移を見るとともに、お金面からの比較と、その他の面からの比較も行いました。それぞれにメリット、デメリットがあるので、自分が重視するポイントは何かしっかり考えた上で判断していく必要があります。戸建てのメリット、デメリットについては、住宅展示場にてハウスメーカーに話を聞いてみるのも参考になるでしょう。
※2022年1月5日時点の情報を基にしています
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