マイホームを考える際まず気になるのは「広さ」ではないでしょうか?例えば、「3人家族にちょうどいい広さはどれくらい?」「部屋ごとの広さの目安が知りたい」「子ども部屋は最低6畳必要なの?」など、広さに関する疑問をお持ちの方も多いはずです。
さらに、マイホームの間取り図には、坪・平米・㎡・畳など広さの単位が混ざり合っていることもわかりづらさの要因の一つです。そこで今回は、わかりやすい単位の換算方法や広さの目安、快適に暮らせる部屋の広さの目安を二級建築士がご紹介します。

部屋別の広さの目安を知ろう!坪・平米・㎡・畳:広さの単位の変換方法を合わせて解説
マイホームを検討する際によく見るのが、広さを表す単位「坪」「平米」「㎡」「畳」です。普段あまり使わない単位ですから、どれくらいの広さかイメージがしにくい人も多いようです。でも、ちょっとしたコツを覚えれば、空間をイメージしやすくなります。
●「坪」は、敷地面積や建物の床面積、浴室や洗面室などの空間の広さを表す時によく使われます。
●「平米」と「㎡」は、同じものです。敷地面積や建物の床面積を表す時によく使われます。
●「畳」は、部屋の広さを表す時によく使われます。
基本は、「1坪=約3.3平米(㎡)=2畳」です。部屋の広さをイメージするには、和室に敷いてある畳の枚数を想像するのがわかりやすいかと思います。2畳であれば畳2枚分、6畳(3坪)であれば和室でよく見かける6畳間です。

<例>
浴室や洗面所で多いのが、2畳=1坪=約3.3平米(㎡)の間取り。トイレはその半分の広さで、1畳=0.5坪=約1.65平米(㎡)が目安。
同じように覚えておくと便利なのが、「6畳=3坪=約9.9平米(㎡)≒およそ10平米(㎡)」で考えるというもの。10の倍数なら覚えやすく簡単なので、おおよその広さを把握する時に、建築現場でもよく使われています。
家の延べ床面積は、「坪」と「平米(㎡)」の両方を使うことが多いので、「30坪=約99平米(㎡)」であることを覚えておくと便利です。
図表01は、部屋や用途によってよく使われる広さ「畳」「坪」「平米(㎡)」の早見表です。こちらの表は分かりやすいように、1坪=約3.3平米(㎡)=2畳を基本にして、概算で表記しています。

赤枠で記載した広さはよく見かけるので、これらの広さをイメージしながら図面を見れば、部屋の広さの数値をみた時に実際の広さも想定しやすくなるでしょう。
ただし「坪」や「平米(㎡)」は、一般的に「壁の厚みの中心から中心までの寸法(壁芯寸法)」を元に計算しますので、実際は壁の厚み分だけ狭くなり、部屋内の実面積とは異なります。
よって、図面に1坪、1.65平米(㎡)と記載していても、実際に使える面積は1.62平米(㎡)程度の広さであることが多いものです。
このように、畳数、坪数、平米(㎡)数はあくまでも図面上の数値であり、実寸とは異なることを覚えておきましょう。
3人家族(夫婦2人+子ども1人)のマイホームの場合、広さはこう考えよう!
快適なマイホームにするためには、どれくらいの広さが必要か、夫婦2人+子ども1人の3人家族の場合を例に紹介します。
床面積に関しては、国交省が定めた以下のような水準があります。(図表02)
1.健康で文化的な住生活に必要不可欠な「最低居住面積水準」
2.豊かな住生活を送るために必要と考えられる「誘導居住面積水準」

この基準では「3歳未満の者は0.25人、3歳以上6歳未満の者は0.5人、6歳以上10歳未満の者は0.75人として算定」としています。ただし、マイホームの広さを考える際には、子供の成長を踏まえて年齢に関わらず1人と数えておくといいでしょう。
次に、実際にどれくらいの広さで家を建てるケースが多いのか、新築住宅の床面積の平均を見てみましょう。
住宅金融支援機構の「フラット35」を利用した人の床面積のデータ(※)によると、2023年度に注文住宅を新築した人の床面積の全国平均は、119.5平米(㎡)(約36.2坪)となっています。
※フラット35利用者調査

「ちょうどいいマイホーム」を叶える広さ以外のポイント
統計データを参考として、実際に建築された家の平均値を紹介しましたが、快適な住まいの広さは、お住まいの地域や生活スタイルによっても異なります。ちょうどいいマイホームを叶えるために、次の3つのポイントを検討してみてはいかがでしょうか。
1つ目は、家事動線をコンパクトにまとめることです。家事効率がアップするので、時短可能で負担を大きく減らせます。
2つ目は、物を使う場所の近くに収納場所を確保することです。必要な時にすぐ取り出せるだけでなく、家族に片付けの習慣がつきやすくすっきりした家づくりにも役立ちます。
3つ目は、必要に応じて大型収納を配置することです。近年では、キッチン横のパントリーや玄関の土間収納、帰宅動線上にファミリークローゼットを設置するプランも注目されています。
これらのポイントを考慮しながら、マイホームにとって快適な広さや間取りを検討してみましょう。
部屋別の広さの目安を知ろう!
マイホームを計画する場合、寝室や子ども部屋、LDK、水まわりなど、それぞれどれくらいの広さがあれば快適に暮らせるのか、目安となる広さを紹介します。

寝室
夫婦の寝室の場合、ダブルベッドのサイズは約1.4m×2m、シングルベッドを2台並べたサイズは2m×2mです。若い頃はダブルベッドでも、年を重ねると共にベッドを分けたいという要望は少なくありません。
通路幅は狭くなりますが、6畳あればシングルベッド2台を並べておけます。また、8畳程度確保できる場合は、収納家具やドレッサーを置いても空間にゆとりがとれます。
子ども部屋
以前は、子ども部屋には最低6畳必要と言われた時代もありますが、造作家具やロフトの活用、勉強スペースを共有部に作るなどの工夫で、3畳程度でも快適な子ども部屋は作れます。リビングなどの共用スペースを充実させて、あえて子ども部屋は狭くしておきたいと考えるケースもあるので、必要な広さはご家庭により異なります。
子どもが健やかに過ごせる要素が満たされているかをよく検討してみましょう。
LDK
3人家族の場合、LDKは最低12畳以上確保したいものです。15畳~20畳程度の広さがあれば、ダイニングテーブルとソファを置いても空間に余白ができます。LDKをコンパクトにまとめる場合は、ダイニングとリビングを分けずに広々使うのもおすすめです。大き目のダイニングテーブルとダイニングソファを合わせると、カフェのようなおしゃれな空間になります。また、ダイニングテーブルの代わりに低めのテーブルを使用して座卓のように使う方法もあります。家具の高さも視点も下がるので、空間を広く感じさせる効果も期待できるでしょう。
さらに近年、リモートワークのための空間をLDKに準備できるかを検討する方も増えています。LDKに余裕がある場合は、リビングやキッチンの一角にスペースを確保可能です。将来的なニーズに備えて、LAN配管を準備し、電源コンセントを多めに設置しておけば、必要となったタイミングですっきりと便利に使い始められるでしょう。スペースが限られている場合でも、折りたたみのデスクを活用するなどの工夫によって、リモートワークに対応できる環境を準備できます。
浴室
浴室のカタログを見ていると「1616」「1620」といったサイズ表記を見かけることでしょう。この「1616」とは、浴室内の寸法が1.6m×1.6mの1坪サイズの浴室を指します。同様に「1620」は、浴室内の寸法が1.6m×2mの1.25坪サイズの浴室です。ユニットバスは室内の間仕切り壁の中にお風呂のユニットを組み立てるので内寸は一回り小さくなります。
以前は0.75坪程度の広さの浴室も数多く見られましたが、よりリラックスできる空間が求められるようになり、最近では1坪以上の広い浴室が増えています。
1坪サイズの浴室は、浴槽で足を伸ばしてゆっくりとくつろげるサイズ感です。また、1.25坪サイズになるとより洗い場が広くとれるので、子どもと一緒に入浴する際も楽々です。システムバスのサイズはメーカーにより規格サイズが異なりますので、ショールームなどで実物を確認することがおすすめです。
洗面所
最低1坪あれば洗面化粧台と洗濯機を並べて配置できます。さらに広さを確保できる場合は、家事スペースとしてカウンターなどを設置する計画や、タオルや下着を片付けられる作り付けの収納を計画するプランも人気です。
まとめ
今回は、ちょうどいいマイホームの広さについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
必要となる部屋の広さは家族の年齢やライフスタイルによって異なります。家族で過ごすスペースを広く取るのか、それぞれのプライベートスペースを充実させるのかといった、マイホームでの理想の過ごし方について、家族でよく話し合うことが大切です。家族にぴったり合った広さを見極めて、暮らしやすく快適な住まいを目指しましょう。