近鉄長野線 川西駅辺りから、国道309号線を奈良方面へ。賑やかだった沿道が少しずつのどかな田園風景へと変わっていきます。やがて、平らだった道が山をのぼりはじめるとそこは千早赤阪村。美しい棚田が広がるこの地に、建水分神社はあります。
千早赤阪村の田園風景
この鳥居の奥、石段を上がると拝殿があり、さらにその奥に建水分の神様を祀る本殿がある
この神社は10代崇神(すじん)天皇によって創建されました。今から約2100年前と言いますから紀元前、弥生時代のお話です。現在の南河内一帯で飢饉が起こり、それを鎮めるため金剛葛城の山々(現在の奈良と大阪の境)を水源とする水越川のほとりに水神様をお祀りするようにとの命が下ったのがはじまりだそうです。稲作の命とも言える水が、この辺り一帯を潤すようにと…。水分と書いて「みくまり」と読ませるのは「みずくばり」が転じて「みくばり」、やがて「みくまり」になったものだと言われています。
本殿におられる建水分の神様には、この拝殿からお詣りすることができる
さらに1334年、一帯を統治していた楠木正成公が96代後醍醐天皇の勅命を受け、現在の高台の地へ移されたのだそう。造営された本殿は、春日造の中殿の左右に、流造の社が渡り廊下で繋がっていて非常に珍しく、今もなお、当時のままの姿を残しており、国の重要文化財に指定されています。
※残念ながら現在参拝できるのは拝殿まで。本殿への参拝はできません。
国の重要文化財に指定されている建水分神社の本殿
※通常は非公開