10月1日。北加納地区の集会所を訪れると、青年団の寄り合いが行われており、まつりで奉納する「にわか」の練習をしていました。「にわか」とは、江戸時代から明治にかけて宴席などで披露されていた滑稽な即興芝居のことで、「河内にわか」は上方芸能の原点だとも言われています。
今回「にわか」を担当するのは、青年団に入ったばかりの谷琉矢(りゅうや)さん15歳と兄の楓馬(そうま)さん17歳の兄弟。今日はじめて先輩方の前で自分達で考えたオリジナルのにわかを披露しました。
今回にわかを奉納する谷兄弟。左:兄でボケの谷楓馬さん
右:弟でツッコミの谷琉矢さん
にわかを青年団のみんなに披露するのは今夜がはじめて
初披露で笑いをとるのはめずらしいこと。流石、兄弟ならではの息の合いよう
できは上々。しかし、慣れないこともあり、ちょっとしたコツや決まり事など先輩からのアドバイスが飛びます。その様子はまるで若手芸人が兄弟子からアドバイスを受けているよう。和気あいあいとしながらも、しっかりとした上下関係を感じます。
青年団は日本各地にある若者の組織。そのルーツは室町時代以前だとも言われています。10代後半から30代くらいまでの若者が集い集落における祭礼や自衛などを担ってきました。
北加納地区の青年団も同じく、祭礼や自衛を担っていますが入団は任意のため、この日集まった12名のうち、地元出身者はわずか5名。15歳になれば入団するのが当たり前だった時代とは状況が違うようです。
入団を敬遠する理由はまつりの開催時期が学校の試験と重なることやだんじりを曳くまつりが危険であることなどさまざま。親が止める場合もあれば、本人が興味を示さない場合もあります。
まつりに参加し、だんじりを曳くためには人手が足りないので他の地区の友人などに声をかけて集めているのが現状だそう。
平成生まれの若手たち
今回、北加納のまつりを仕切るリーダーの阪本義隆さん(30歳)も他の地区から参加しているメンバーの一人。高校時代に同級生の福田尭之さんに誘われ参加して以来10年に渡って北加納のまつりを盛り上げてきました。本来なら地元出身者ではない者がリーダーを務めることはないそうですが、団員や村の人々からの信頼も厚く、「幹事長」という名目で青年団を卒業する今年、実質上のリーダーを任されました。
北加納青年団・幹事長の阪本義隆さん(右)
副幹事長の福田尭之さん(左)は高校の同級生。どちらも30歳を迎え、今年で青年団を卒業する