ABCハウジング このまちのストーリー

神様のいる場所 Vol.1

建水分神社の秋祭り(3)

上方芸能の原点、河内にわかの奉納

御旅所の儀が終わると、次は神様に楽しんでいただくための儀式、俄(にわか)の奉納です。「とざい、とーざい(東西東西)…」まずは口上から。この辺りのだんじりは「石川型」と呼ばれ前部に張り出た縁があるのが特徴でそこを舞台に「俄(にわか)」が演じられます。
「にわか」とは、宴席などで披露される即興芝居のことで、滑稽な話が多く河内一帯のものは「河内にわか」と呼ばれ上方芸能の原点だとも言われています。全国に1,000台を越えるだんじりがある中、車上でにわかを奉納する祭りはとても珍しいのだそう。10年ほど前までは、19全ての地区が奉納していたそうですが時間がかかりすぎることもあり、現在、神様の前で披露できるのは6地区のみ。輪番制で3年に1度廻ってきます。

拍子木を打ち鳴らし、口上がはじまる。内容は地区によってさまざま

即興芝居と言いながら、各地区、しっかりネタを練り、練習を重ねてこの日を迎えます。伝統的なネタを披露する地区もありますが、多くは現代もの。コスチュームに凝ったものも多く青年団主導のため、若者ネタも少なくありません。また、マイクを挟んで漫才のようにしゃべくるものも…完成度はさまざまですが、祭りの高揚した気分の中、見る人も楽しそうです。

にわかの奉納。古典的なものをする地区もあれば、コスプレで楽しませてくれる現代版のにわかも

にわかを見上げる観客の中には、お酒が入ってほんのり赤ら顔の人も

いつの間にか日が傾き、祭りも終盤を迎える。19台のだんじりは、軽く一暴れしてから神様に一礼して御旅所を後にする

6地区のにわかを奉納し終えた頃には日も傾き始めていました。予定の約1時間超え。本来ならもう一暴れして退場するはずのだんじりですが、やや手短かぎみに神様に一礼して、御旅所を後にして行きます。19台全てが出終わった頃には、すっかり日が暮れていました。最後に神様が御神輿に乗って神社に戻られ祭りは終わりです。

後から宮入りしただんじりから退場し、朝一番に宮入りしただんじりが退場する頃にはすっかり日が沈み、提灯に灯りがともる

最後のだんじりが退場すると、神様も神社へお戻りに

翌日は、各地区ごとに地元でだんじりを曳行します。この時期は、他の神社でも祭典があるので、南河内全体で見ると、1日で50台を越えるだんじりが出ている日もあるのだそう。幹線道路などでは、だんじりが何台も並び、すれ違う姿も…

だんじりとそれを見る人で溢れかえる河南町の道路

最近では、だんじりの曳行は、警察による交通規制もあり午後10時までと決められていて、その日のうちに静かな夜が訪れるそうですが昔は深夜まで続いたのだとか…。
1年待ちわびた祭りで大暴れした後は来年の祭りを楽しみにすることでまた1年、頑張れるということなのでしょう。

次回は、建水分神社の秋祭りの二話目。祭りを迎える青年団の活動を取材します。

TOPへ戻る ▲